日食が起きる仕組み
日食は、月が太陽を覆い隠すことによって生じる現象で、地球と月、太陽が1直線上に並ぶ時に起きる。月の満ち欠けのサイクルでは、新月のタイミングで見ることができるが、地球から見た太陽の軌道である「黄道」と月の軌道「白道」は5度の傾きでずれているため、「黄道」と「白道」が交わる交点でのみ観測することができる。
日食の中でも、特に月が太陽を完全に覆い隠す「皆既日食」は、地球と月の距離と太陽と月の距離が奇跡的なバランスで保たれているために発生する。実は月と太陽の直径の比率と、地球から月まで、月から太陽までの距離の比率がほぼ等しいために起きる現象なのだ。
皆既日食が起きる際の地球と太陽と月の位置関係
画像提供 国立天文台
日食の進み方
日食は、月が太陽に最初に接触した段階を第1接触として、各ステップごとに4つに分けられている。皆既日食は第2接触から第3接触までの間の現象である。皆既日食が起きる時間の長さは、地球と月の距離や太陽との距離によって変化するが、太陽と月が天頂付近にあるときに観測できる方がより長くなる。また月の谷間から漏れた太陽の光が指輪にしたダイヤモンドのように輝く「ダイヤモンドリング」は第2接触直前と、第3接触直後に見ることができる現象だ。
日食の進み方
日食の種類
日食は、太陽の隠れ方によっていくつかの呼び名に分けられている。月が太陽を完全に覆い隠す現象は皆既日食と呼ばれ、一部分だけ隠される場合には部分日食、月の回りから太陽の光が見えるものは金環日食という。金環日食は皆既日食と同様に、黄道と白道が完全に重なった場合に見ることができるが、月の公転軌道が完全な円ではなく楕円であるため、地球と月の距離が遠くなった場合に日食が起きると、月の大きさよりも太陽が大きいため、月の周りから太陽の光が見え、金環日食となる。
部分日食
2005年、ベネズエラで撮影
皆既日食
2008年、中国で撮影
ダイヤモンドリング
2002年に撮影
金環日食
2009年、インドネシアで撮影
日食の歴史
今でこそ、歴史的なイベントとして注目される皆既日食だが、古代の世界では不吉な象徴として恐れられてきた歴史がある。特に古代の中国では、太陽は皇帝のシンボルとされていたので、この現象は皇帝に対する警告だと考えられていたという。そのため、日食の発生を事前に予測することを目的として、日食に関する体系的な日付入りの記録が紀元前8世紀頃から行われてきた。現代の日食の予測には、こうした古来のデータも重要な役割を果たしている。
現在、日食の発生日を予測するために、よく知られているのは「サロス周期」という法則だ。サロス周期は簡単に言うと、ある年月日に日食が起きると、その18年11日+3分の1日後にも日食が起きるという周期性のことである。この周期は紀元前3?2世紀頃のギリシャの天文学者にはすでに知られていたという。
日本の日食史
- 1958年4月19日
- 金環食 奄美大島、トカラ列島、屋久島、種子島など
- 1963年7月21日
- 皆既食 北海道東部
- 1987年9月23日
- 金環食 沖縄本島など
- 2009年7月22日
- 皆既食 トカラ列島、屋久島、種子島・奄美大島の一部など
- 2012年5月21日
- 金環食 九州南部、四国、近畿、東海、関東、東北など
- 2030年6月1日
- 金環食 北海道の大部分
- 2035年9月2日
- 皆既食 北陸、中部、北関東など
中国の皇帝が日食を眺めている様子
日本人と日食の関わり
皆既日食が観測できる場所
提供:近畿日本ツーリスト株式会社
| 地名 |
食の始め |
最大食 |
食の終わり |
| 札幌 |
10:04 |
11:10 |
12:16 |
| 東京 |
9:55 |
11:12 |
12:30 |
| 大阪 |
9:46 |
11:05 |
12:25 |
| 福岡 |
9:37 |
10:56 |
12:17 |
| 那覇 |
9:32 |
10:54 |
12:20 |
2009年の日食で、皆既日食が観測できる日本国内の地域は、トカラ列島や屋久島など、南西諸島の一部の島々に限られる。皆既日食が見ることのできる範囲は皆既帯と呼ばれているが、その幅は160キロほどの地域に過ぎない。皆既日食はインド西部からはじまり、ネパール・中国を通過して日本にいたる。今回の皆既日食の最大食は硫黄島沖で観測される6分39秒だ。ただし、観測が可能なポイントしては、トカラ列島の悪石島が最長となり、6分25秒皆既の状態が続く予定だ。一方、今回の日食では、日本各地で部分日食を観測することができ、東京や大阪などからもその様子を見ることができる。しかし、太陽が部分的に掛けているといえ、太陽の光が非常に強いため、日食グラスなどで観察しない限り、太陽が欠けていることを確認することはできないだろう。