オーロラのメカニズム
オーロラはなぜ起きる?
オーロラは、太陽から吹き寄せた太陽風(プラズマ粒子)が地球の大気とぶつかった時に生じる現象である。太陽から放出され、地球まで辿り着いたプラズマは、地球の磁場に運ばれ極地に集められる。そのため極地でしかオーロラを見ることができないのだ。大気圏に突入したプラズマは、大気中にある原子と衝突すると励起状態になる。励起状態とは、原子や分子がエネルギーを持った状態のことで、大気の原子が衝突によって、プラズマから運動エネルギーを与えられることで起きる。この励起状態が収まり、元の状態に戻ろうとする際に、電磁波が放出され光を発する。暗い夜空では、色鮮やかに輝くオーロラだが、その明るさは満月時の月明かりほどしかない。
太陽活動は11年周期で変動するため、オーロラの活動もそれに合わせて、活動が活発になる時期が存在する。
オーロラの名前の由来
オーロラの名前は、ローマ神話に登場する女神アウロラ(Aurora)に由来すると言われる。その名付け親は有名な科学者ガリレオ・ガリレイだという説が有力だ。ローマ神話に登場する暁の女神アウロラは、人々に明かりと希望をもたらす女神として神話の中で重要な役割を果たす。ガリレオが自作の望遠鏡で始めて天体観測を行う2年前に当たる1607年は、ヨーロッパの広範囲に及ぶ大規模な磁気嵐が発生し、至るところでオーロラが観測された年であった。ガリレオも空を赤く染めるこの現象に強い関心を覚えたのかもしれない。
オーロラの色と形
オーロラはプラズマと地球の大気との衝突によって発光するが、その色は衝突する原子・分子の種類によって異なる。酸素と衝突すると赤や緑のオーロラ、窒素と衝突すると赤や青のオーロラが発生することがわかっている。オーロラが出現する地上100km~500kmの層には酸素と窒素が多く含まれているが、高度によってその密度が異なるため、さまざまな色のオーロラが発生するのだ。
オーロラの特徴としてもう一つ挙げられるのが、カーテンのような形状だろう。オーロラがそのような形になるのは、地球の磁場の向きに依存して発生するためだ。地球の磁場は、地球の周りで螺旋を描きながら形成されている。オーロラは激しく動くその磁力線によって、カーテンのように波打って見える場合があるのだ。
オーロラが発生する場所(高度)
オーロラは地表から100kmから500kmの電離圏といわれる場所に出現する。そこでは、地球を取り巻く大気の原子が、太陽光線やエックス線などの宇宙線により電離している。いわば、宇宙と地球の境界線とも呼べる層だ。この地点でオーロラが発生するのは、太陽から送られてくる太陽風が地球に落ち込み、地球の大気に触れるからだ。
オーロラの高さは、同じオーロラを2つの地点から観測する三角測量で測量することができ、緑のオーロラの最も明るい部分は110km付近、赤いオーロラの最も明るい部分は250km付近である。
通常、オーロラは太陽風が100~500キロ圏内まで落ち込む極地付近で発生するが、太陽の活動が活発になると、強い太陽風によってオーロラの出現地域がより低緯度の地域に押し下げられる場合がある。日本でもまれにオーロラの発生を見ることができ、その際は赤いオーロラが夜空を彩るという。
オーロラの歴史
オーロラの伝説と神話
オーロラ観測の歴史は非常に古く、紀元前4世紀にはギリシアの哲学者アリストテレスが著書「気象学」の中で紹介している。
今でこそ、その原理が解明されているので、オーロラを見ることに恐怖心はなくなっているが、かつてオーロラは天空からの光として、極地に住む人々にとって畏怖の対象であった。特に、中世のヨーロッパでは、オーロラを災いが起こる前兆と捉えており、神の怒りの印として恐れられていた。一方、北米の先住民たちの間では、オーロラを亡くなった人が生まれ変わった精霊だと考えており、精霊たちが地上の人間に話しかける現象だと信じられてきた。
日本でも「日本書紀」に既にオーロラらしき記述が見られる。オーロラは「赤気」と表現され、赤く染まった空に恐れおののく様子が書き記されている。
オーロラを研究した科学者たち
ハレー彗星で有名なハレー、摂氏温度のセルシウス、哲学者のド・メランなど、著名な科学者や哲学者がオーロラの謎を解こうとした。18世紀には、スカンジナビアだけでなく、パリやロンドン、さらにイタリアにまで、カーテン構造を持ったオーロラがやってきており、多くの研究者の関心事となっていたようだ。太陽活動の因果関係や地球磁場との関係など、オーロラは興味のつきない研究テーマを含んでいたのだろう。
近年では、衛星によるオーロラ観測も行われている。1989年に打ち上げられた日本の衛星「あけぼの」は、オーロラ発生のメカニズムを解明するため、地球の周囲の空間を観測している。その結果から、オーロラの発光に必要なオーロラ粒子加速のメカニズムが解明されている。
また、オーロラの発生を予測するための研究も進められている。色鮮やかなオーロラの中には、何百万アンペアもの電流が流れており、オーロラが広範囲に出現した際には、その地域の送電網をストップさせることも起きるからだ。1989年に発生したオーロラは、カナダ・ケベック州の発電所を停止させ、約10時間に及び、約600万人の住民の生活に影響を与えた。こうしたことから、オーロラの出現の予測は、重要な意味を持つ分野となっている。
オーロラが見られる場所
オーロラはどこで見られる?
オーロラをよく見ることができる場所はオーロラベルトと呼ばれている。オーロラベルトは北半球と南半球に一つずつあり、そこでは、天気さえよければほとんど毎晩オーロラを見ることができる。実際に、地球上でオーロラを観測できる場所は、アラスカやカナダ、北欧または、南極など“寒い地域”がほとんどだが、寒いからオーロラが発生するのではなく、オーロラを見ることができる場所がたまたま寒いという表現が正しいようだ。現在の地球では、地磁気緯度の高い場所が寒い地方にあたっているというだけのことなのだ。
宇宙から見たオーロラと地球以外の惑星のオーロラ
1950年代後半、オーロラ科学に人工衛星という強力な観測手段が登場した。人工衛星に積まれた高性能機器は、オーロラカーテンの上側に回ってオーロラの全体像を撮影し、その映像を地球に送っている。宇宙からの観測で、太陽風が地球の大気にどのような影響を与えているのかなど、様々なことが分かった。オーロラの発生には大気と磁場が必要になるが、逆に言えば大気と磁場さえあれば、地球以外の惑星でもオーロラを見ることができる。太陽系の惑星では、木星や土星、火星などでオーロラが確認されている。オーロラの色は、その惑星の大気の組成によって変わるため、オーロラはまさにその惑星の特徴を色で表しているのだ。
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