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新しい研究によると、先史時代に生息していた恐竜の長い首は、高い樹木の葉を食べるために機能していたわけではないらしい。長い首は、垂直に立てるよりも水平に伸ばした方が姿勢としては合理的なためだ。
「長い首を高く持ち上げた場合、脳へ血液を送り込むために相当のエネルギーが必要となり、心臓に大きな負担がかかっていたと推測される」と、恐竜の血液循環を調べた研究チームは述べている。長い首と尾に特徴がある4足歩行の巨大な草食恐竜である竜脚類は、約2億年前から6600万年前まで地球上に生息していた。
現生の首の長い動物といえばキリンが代表的だが、この動物は背の高い木の葉を食べる傾向がある。この事実から、最長9メートルの首を持つ竜脚類も同じような行動をとっていたというのが古生物学の定説だった。
しかし、オーストラリアにあるアデレード大学のロジャー・セイモア氏が行った研究では、竜脚類が頭を高く持ち上げておくためには、体が必要とするエネルギーの最大75%を消費しなければならなかったことが判明したのである。
ほとんどの哺乳類は、体のエネルギーの約10%を消費するだけで全体に血液を循環させることができる。しかしキリンは首が長く垂直に立っているため、約18%を使わないと頭部まで血液を行き渡らせることができない。
「背の高い木に葉が豊富に茂っていたとしても、竜脚類が大量のエネルギーを消費してまで手を出したとは考えにくい。エネルギー消費を考えれば、首を水平に保って草を食べた方が効率的だったと考えられる」と、セイモア氏は指摘する。首を左右に大きく動かせば、体ごと移動しなくても広い範囲の植物を食べることができたはずなのだ。
もちろん、この方法でもエネルギー消費が大幅に抑えられるわけではない。しかし体重が30~40トンにも及んでいたと推測される動物にとっては、わずか数歩とはいえ、移動するのとしないのではエネルギー消費の点で大きな違いがあったと考えられる。
セイモア氏の研究に参加していない科学者たちの間では、竜脚類がエネルギーを大量に消費してでも頭を高く持ち上げるような、例外的なケースもあったはずだという意見が出ている。
ドイツにあるボン大学の古生物学者マルティン・ザンダー氏は次のような指摘をしている。「骨と関節を調べたところ、一部の竜脚類は30~60度の角度で首を持ち上げることができたと判明した。中程度以下の高さでエサが不足した場合は、高いエネルギー・コストをかけてでも頭を高く持ち上げる必要があったと考えられる。そうしなければエサを食べることができなかったからだ」。
また、アメリカにあるカリフォルニア大学デービス校のリチャード・コーウェン氏は、「他の動物でもエネルギーを大量消費してエサを確保する場合がある」と指摘している。
例えばチーターは、4回に1度しか成功しないにもかかわらず常に全速力で獲物を追いかけている。同じように、クジラは大量のエネルギーを消費して冷たい深海まで潜り、渡り鳥も高いエネルギー・コストをかけて数千キロを移動している。
「このような行動はエネルギーの大量浪費とも取れるが、実際は違う。これらの動物はそのエネルギー消費に見合う素晴らしい成果を上げているからだ。そう考えれば竜脚類も、十分な成果が得られる場合に限れば、頭を高く持ち上げて草を食べることがあったはずだ」と、コーウェン氏は説明する。
この最新の研究結果は、2009年6月23日発行の「Biology Letters」誌に掲載される予定だ。
Illustration by Roy Andersen/NGS

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