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長い停滞期間を経て、太陽がようやく動きを見せ始めたようだ。しかし次の展開については、天体物理学者の間でも意見が分かれている。
太陽活動は約11年周期で変動するが、通常の活動サイクル通りなら、2008年に極小期に入り、その後は再び活発化するはずだった。しかし太陽活動の停滞は、つい最近まで続いていたのである。この事態に科学者たちは困惑し、“小氷期”の到来を危惧する意見も表明されている。
ただし、太陽物理学者たちはその可能性には否定的だ。いま問題となっている温室効果ガスに比べれば、太陽が地球の気温に与える影響ははるかに小さいからだという。
NASAと米国海洋大気庁(NOAA)が招集した専門家委員会も、ようやく活発化し始めた太陽に対して、「推定よりたった1年遅れただけであり、大きな問題はない」という見解を発表している。
同委員会によると、太陽活動は2013年に極大期を迎え、その年には黒点が90個観測される見通しだという。ただし、活発化のレベルは1920年代以降では最も低い水準になるらしい。
委員会のメンバーであるゴダード宇宙飛行センターのディーン・ペスネル氏は次のようにコメントしている。「次の極大期は2013年の5月だ。カレンダーに印をつけておくと良い。でも、簡単に書き換えられるよう鉛筆を使うことをおすすめする。またずれるかもしれないからね」。
太陽の磁気活動の状況は、黒点、太陽フレア、帯状流(地球のジェット気流に似たプラズマの流れ)を観測することで把握できる。太陽活動が活発なときは太陽風の勢いが増し、船外活動を行う宇宙飛行士は危険にさらされ、人工衛星の故障や地球上での電力の安定供給に問題が生じることもある。
最近のデータを見ると、太陽が徐々に活発化していることがわかる。このことから、前出の委員会のメンバーである太陽研究家のリーフ・スバルガード(Leif Svalgaard)氏など、多くの専門家たちは太陽活動が本来の周期に戻り、極大期へ向かっているとみている。
しかしスバルガード氏は、「現在の予測モデルでは、太陽の近年の活動パターンよりも、長年の統計データの方が判断材料として重要視されている。極大期に黒点の数が90個という予測も、もしかしたら楽観的な数字かもしれない」と指摘する。
その一方で、活動の停滞が今年まで長引いたことは、それほど異常ではないと楽観視する専門家たちもいる。
例えばフィンランドにあるソランキラ地球物理観測所(Solankyla Geophysical Observatory)のイリヤ・ウソスキン(Ilya Usoskin)氏は、「Astrophysical Journal」誌の6月号に掲載された論文の中で、「この50年間、太陽活動は極大期にあった」と述べている。同氏によると、この50年間、太陽の磁気活動の平均値は異常に高かったという。
イギリス、サウサンプトン大学の太陽地球物理学者マイク・ロックウッド氏もウソスキン氏と同意見だ。同氏は、「1920年代、太陽活動は現在よりも停滞していたが、その状態の方が正常に近かった。もしかしたら、太陽はいま正常な状態に戻ろうとしているのかもしれない」と述べている。
過去数十年間、太陽の極大期を見極めた天体物理学者はいないが、同氏に言わせれば、それはデータに不備があったからだという。例えば黒点は望遠鏡が発明された頃から観測されているが、帯状流の研究が始まったのはわずか30年前であり、太陽の電波放射が最初に観測されたのは1940年代のことである。
ロックウッド氏は、「時代とともに基本原則が変わってしまっているのだから、それを考慮に入れなければ予測は見当違いのものになる。太陽活動が専門家委員会の予測を下回ることも十分にあり得るだろう。私個人も、前の周期より今度の周期の方が太陽活動は弱まるとみている」と解説する。
前出のスバルガード氏は次のように解説する。「グリーンランドから掘り出した氷床コアを分析した限りでは、過去600年と比べて最近の太陽活動が特に激しいわけではない。ただ、全体的な活動の激しさとは関係なく、個別の太陽風が異常に強く吹く危険性はある。それが原因となって、衛星を含めた通信システムに数十億ドル規模の被害がもたらされる可能性もあるということだ。太陽風の発生頻度は太陽周期によって決まるが、個別の太陽風の強度とは関係がない」。
Image courtesy SOHO/NASA

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