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世界中からヒトのDNAのサンプルを集めて人類の移動の歴史を探っているナショナル ジオグラフィックのジェノグラフィック・プロジェクトが新しい調査結果を発表した。
今回の調査では、15万年前に絶滅の危機に瀕していた人類はいくつかの小さなグループに分岐し、後に再集結してアフリカを脱出するまでのおよそ10万年間、別々の営みを続けていたことが明らかになった。調査を監修したジェノグラフィック・プロジェクトのリーダーを務めるスペンサー・ウェルズ氏は「これまでの仮説では、アフリカのサハラ以南に生息していた極めて小さな単一集団が人類の始祖であると考えられてきた。しかし今回の調査によって、その仮説は正しくないことがわかった」と話す。
現生人類は、およそ20万年前に1つの独立した種として出現した。これまでの研究では、現代人はすべて祖先をたどっていくと、この始祖的な人類に行き着くとされてきた。しかし、およそ6万年前アフリカからの最初の大移動が始まるころには、人類は既に遺伝系統が異なる別々のグループに分岐していたということが今回明らかになった。
20万年前から6万年前までのその間に、いったい何が起こったのだろうか。ウェルズ氏らはそれを探るため、アフリカのサハラ以南に居住しているさまざまな先住民族を対象に、母系遺伝するミトコンドリアDNAを624人から採取して、その全ゲノムを解析した。ゲノムとは1人の人間が持つDNA一式を指す。その結果、ウェルズ氏のチームは、アフリカ東部が発祥地とみられる1つの集団が、およそ15万年前に南へ移動したグループと北東へ移動したグループに分岐したことを突き止めた。そもそもなぜ集団が分岐したのかについては明確でない部分もあるが、調査によれば、その要因の1つとして気候変動が考えられるという。
ウェルズ氏は、マラウイ湖が何度も深刻な渇水に見舞われたという証拠を示しながら、「この時期には大きな気候事象が何度か発生したとみられており、それらが分岐の要因となった可能性は高い」と語った。さらにウェルズ氏は「人類の個体数は2000程度にまで減少した。おそらく各集団の規模はせいぜい数百人程度だったと考えられる」と話す。人類は絶滅の一歩手前にいたのだ。過酷だった気候条件が穏やかになると、それぞれの集団は個体数を増やし、やがてはアフリカの外へと広がっていくことになった。その際、後期石器時代に生まれた新しい道具や技術も一役買ったかもしれない。
これらの新発見は、もともと医療への応用を目的としたものではないが、外部の専門家にはその可能性を示唆する人もいる。今回の研究には参加しなかったイタリアのパビア大学イタリアの遺伝学者、アントニオ・トッローニ氏は「この研究成果は今後、疾病の研究を含めたアフリカの人々に関する遺伝子研究の参考になるだろう」と話している。
Photograph by Chris Johns/NGS
※この記事はNational Geographic米国版Webサイトのニュース記事アーカイブから翻訳したものです。









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