March 12, 2009
まさか血を吸うつもりはないだろうが、不気味な牙を誇らしげに見せるこのオスの魚は、「ダニオネラ・ドラキュラ」(Danionella dracula)と命名された。
ロンドン自然史博物館の研究チームは水族館の水槽内でこの新種の魚を数匹発見した(写真下)。ミャンマーで捕獲されたもので、体長は1.7センチ。博物館のスタッフは当初、既存の近縁種に属する魚だと考えていた。
博物館の科学者ラルフ・ブリッツ氏は、「捕獲から1年ほどたつと何匹か死んでしまったので、保存して顕微鏡で観察したところ、これはいったい何だろう、歯ではないぞ、と驚いた」とBBCニュースに語った。
実際のところ、この牙は本当の歯ではない。この魚は約5000万年前に歯を失って、“ドラキュラ”を思わせる輪郭になったと考えられている。ブリッツ氏は死んだ魚の骨を染色し、組織を分解して除去し、アゴの骨を取り出した(写真上)。その結果、通常の歯に見られる歯髄腔(しずいくう)やエナメル質を持たない、骨ばった突起の列(写真中)が見つかった。
おそろしい外見とは裏腹に、この牙は摂食には使われていないようだ。「胃の内容物は調べていないが、近縁種は小さな甲殻類や無脊椎動物をエサにしている。飼育中のものは、小型の甲殻類であるブラインシュリンプの稚魚や小さな線虫、微細なフレークフードなどを好んで食べている」とブリッツ氏はナショナル ジオグラフィックニュースにコメントを寄せた。
研究チームは生存中の個体の行動から、オスは攻撃的なディスプレー(誇示)の際に長い牙を使って相手と闘っていると推測している。今回の発見は「Proceedings of the Royal Society B」誌オンライン版に掲載されている。
Photographs courtesy Ralf Britz, Natural History Museum