イルカはイカをそのまま食べたりはしない。捕食する際のユニークなレシピがある。まず内部の甲骨をはぎ取り、次に墨を出してからかぶりつく。
今回その様子が確認されたのは、1頭のメスのミナミハンドウイルカである。このイルカが巨大な甲イカ(コブシメ)を捕まえ、とどめを刺した後に調理しているところが繰り返し観察されたのである。
南オ
2003年と2007年に、同じイルカが水中で食事の準備をしている様子が撮影された。両年のイルカが同じであることは、頭部にある円形のキズで確認できる。撮影者であるマーク・ノーマン氏とジュリアン・フィン氏は、オーストラリアのメルボルンにあるビクトリア博物館の研究者だ。
メスのイルカは甲イカを海底まで追い詰めると、鼻先でイカを固定してから下方へ強く押し込んで甲骨を割りとどめを刺す。次に、死んだイカを持ち上げ、鼻先でたたいて墨を排出させる。墨を抜かれたイカはまた海底に戻され、砂に擦りつけられて甲骨がはぎ取られたのである。
「墨は消化が困難でイルカは好まず、また甲骨に栄養はない。このような複合的な一連の行動は哺乳類(特に海生哺乳類)では異例のことだ。人間に訓練される場合のように、1つの行動ごとにエサが与えられるわけではない。イカをさばく一連の行動がすべて終わるまで報酬にありつけないため、これは特に高度な技能である」と、トレゲンザ氏は説明する。
この研究は「PLoS One」誌で1月21日に発表された。
研究チームは、このような調理技術がイルカの集団に普及していることを示す行動をオーストラリアの湾の水面で確認している。例えば、イルカの群れが通り過ぎた後に無傷のきれいな甲骨がいくつも海面に浮かんでいたのである。
いまトレゲンザ氏は、その行動が学習効果なのかということに非常に関心を持っている。例えばオーストラリアのシャーク湾で海綿を道具として使うイルカのように、この行動が次世代に受け継がれるものであれば、「イルカは驚くほどの柔軟性を持つことになる。学習行動が可能であれば、複数世代が力を合わせて特定の問題に対処することができる」と同氏は力説する。1個体がそれぞれプロセスを考案するのとは大きな違いだ。
マサチューセッツ大学ダートマス校のステファニー・ガズダ氏は、オーストラリアのイルカたちの名シェフぶりを知って「行動が学習されているという発想の信憑性を高めるものだ」と述べている。
同氏は、ナショナル ジオグラフィック協会から資金提供を受け、フロリダ州シーダーキーでイルカの労働分担について研究している。「興味深い行動だ。この発見で、ハンドウイルカのさまざまな採餌戦略に関する資料がまた増えることになる」と同氏は付け加えた。
Photograph courtesy Julian Finn, Tom Tregenza, and Mark Norman









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