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鳥やトンボだけでなく、森の神様もいるところ――“里山”と呼ばれる日本の農村の生態系は何世紀にもわたり人間と自然が共存してきた場所だ。
里山には、村や小規模な田畑を支えるほかに、多数の野生生物の重要な生息地という側面もある。しかし、この数十年間に近代化の波が押し寄せ、高齢化が進む中で、地域の土地所有者は開発業者に次々と農地を明け渡し、里山の生息環境は減少している。
1960年代以降、古くからの里山の風景がゴルフ場や工場、住宅などに転換される割合は増加しており、多くの種に危機が迫っている。複数の自然保護団体が里山の保護活動を展開しているが、中でも、アニメーション映画『となりのトトロ』に登場する森にすむ生きもの「トトロ」の名を冠した活動は注目を集めている。
里山とは耕作地と山の境界付近を丁寧に管理した地域であり、何世紀にもわたり農業に活用されてきた。日本の田舎の発展様式を象徴する場所である。
もともと里山という言葉は地元の人が手入れする森のことを指していた。落ち葉を集めて水田の肥料にし、落ちた枯れ枝や切り落とした木で家を建て、料理や暖房にも利用した。そこから次第に意味が広がり、森林、水田、灌漑水路、草地、小規模な畑などが混在した場所を指すようになった。
典型的な里山では、竹林とカシの木やアカマツの森が交互に立ち並び、その隣に農家と小さな田畑がある。泥水の流れる灌漑水路や運河は、魚だけでなく、トンボやホタルのような水に依存する昆虫、ツルやサギなどの鳥の生息地となる。
1998年に設立された非営利団体「トトロのふるさと財団」の調査によると、おそらく1960年代以降の開発プロジェクトが原因で、約470万ヘクタールある日本全国の農地で里山が減少しているという。
例えば、泥水の流れる灌漑水路の多くは、水の流れを速くするためにコンクリートで整備された。この施策で農作業は効率的になったが、泥水に生息する野生生物にとっては大きな打撃だった。
環境教育を専門とする東京情報大学教授ケビン・ショート氏は、「小さな水田は、昔よりも速く効率的な排水管によって大きな水田に統合されつつあり、一年を通して泥水に満たされる状態ではなくなっている。こうした場所に生息するカエルやトンボは生息しにくくなり、数が減ってゆく。そして、より大きな種の動物、つまり彼らを捕食するサギなどの鳥も次第にいなくなる」と話す。
「トトロのふるさと財団」では、東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵で里山を守るためのナショナル・トラスト活動を展開している。広報担当者の荒木美恵氏によると、「トトロのふるさと基金」には日本全国から寄付が集まっているという。多くの日本人が里山という文化的遺産を守りたいと考えているのだろう。
「豊かな自然環境を体験できる場所はまだまだたくさんある。われわれの目的はその環境を次世代に引き継ぐことだ」と荒木氏は言う。
東京情報大学のショート氏は、「トトロのふるさと基金」のような活動が一部の地域の里山の再生に貢献しているとしながらも、日本の現在の農業政策には、持続可能な農業という点で根本的な問題があると指摘する。「欧州連合(EU)では、環境配慮型の農業に取り組む農家に補助金を出している。だが日本では、生産性を高めている農家に補助金を出しているのだ」とショート氏は警告している。
Photograph by Thomas J. Abercrombie/NGS









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