バングラデシュで、希少なカワゴンドウ(イラワジイルカ)の新たな個体群が発見された。調査を行った自然保護団体は3月31日、この希少種の生き残りを大いに期待できる個体数だと喜びを語った。調査チームの推定では、同国南部にあるシュンドルボンのマングローブ群生地帯とそのすぐそばのベンガル湾で、6000頭ものカワゴンドウが繁栄しているという。
発見された個体群は過去最大の規模を誇る。これまでは、東南アジアのあちこちで100頭ほどの群れが見つかっただけだった。カワゴンドウはベンガル湾に注ぐ川の河口からインドネシアまでの海に生息しており、その全個体数は明らかになっていない。
今回の発表を行った自然保護団体、野生生物保護協会(WCS)で大型海洋生物の研究プログラムを率いるハワード・ローゼンバウム氏は、「この一帯で6000頭近くも生存している事実は、種の存続とこの極めて重要な生息地を保護する上で希望となる。とてもうれしい」と興奮を押さえきれない様子だ。
今回カワゴンドウの群れが発見された地域は多様な生態系で知られている。淡水のマングローブから汽水、深海の谷までが狭いエリアにおさまっていて、海洋哺乳類の専門家もあまり注目してこなかった地域だ。
体長2~2.5メートルのカワゴンドウは時々しか水面に現れない。そこで、WCSの研究者たちはトランセクトと呼ばれる手法で個体群のデータを収集した。チームは1本の直線に沿ってボートを進め、終点までに目撃したイルカの数を記録していき、このデータから個体群の数を見積もった。この結果はアメリカ、ハワイ州のマウイで開催されている第1回海洋哺乳類保護区国際会議で3月31日に発表された。
カワゴンドウは国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストで絶滅危惧II類に指定されている。「6000頭とはまさに桁外れだ」とローゼンバウム氏は言う。ただし、「危機を脱したわけではない」。
まず、シャチの仲間であるカワゴンドウは漁網に絡まりやすい。また、上流にあるインドのダムが原因で淡水が減少し、地球温暖化のせいで海面が上昇すれば、環境変化の影響を受けやすいカワゴンドウにとって脅威になるとローゼンバウム氏は指摘する。事実、絶滅の危機にある仲間のガンジスカワイルカも同じ脅威にさらされて個体数が激減している。絶滅寸前とされるヨウスコウカワイルカに至っては、人間がイルカにどれだけ影響を及ぼし得るかを示す“大きな教訓”とさえいわれている。
世界自然保護基金(WWF)でメコン川のプログラムを率いるデキラ・チャンギャルパ氏はカワゴンドウを「最もかわいい」イルカと呼び、個体数の減少が大きな懸念だったと明かす。「別の場所にとても大きな個体群がいると知ってほっとした。ただし、これだけの数を見つけたからといって、緊急性が低くなったわけではない」と警鐘を鳴らしている。
ローゼンバウム氏によると、WCSは今回の発見を機会に周囲の協力を得て、シュンドルボンのマングローブに海洋保護区の設立を急いでいるという。現在、バングラデシュ環境森林省と連携し、カワゴンドウとガンジスカワイルカの保護区を作ろうとしている。
Photo by Alice Rocco, courtesy WCS

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