8500万年前、巨大な海の怪物に向かって古代のサメの一団が襲いかかっていく。そんな光景が最新の化石分析で明らかになった。
この化石は1968年に日本の福島県で見つかったもので、通称「フタバスズキリュウ」と呼ばれ日本近海に生息していた。フタバスズキリュウは先史時代の爬虫類の一種で首長竜に属するが、比較対象となる標本サンプルやデータがなかったため、最近まで正式な学名を記載する学術報告が行われていなかった。2006年にようやく新種であることが確認され「フタバサウルス・スズキイ(Futabasaurus suzukii)」という学名が与えられている。
アメリカのイリノイ州シカゴにあるデポール大学の古生物学者、島田賢舟氏は次のように話す。「私が日本で生まれたのも1968年だが、子どものころにフタバスズキリュウの化石にサメの歯が何本か埋まっていたという話を聞いていた。しかし、学名を決定した報告には80本以上の歯が見つかったと記されていた。化石に埋まった歯にしてはかなりの数だ」。
この報告を受けて、古代ザメを専門とする島田氏は、どんな種類のサメの歯なのか詳しく調べさせてほしいと願い出た。 調査の結果、フタバスズキリュウに襲いかかったサメは少なくとも7匹ほどと推測され、その年齢層もさまざまであったことがわかった。
さらにサメの種類も判明したが、こちらはもっと衝撃的だった。既に絶滅している「クレタラムナ・アペンディクラタ(Cretalamna appendiculata)」という古代ザメの一種で、成体でも全長3メートルにしかならない。
他方、このサメがエサにしていたフタバスズキリュウの全長はおよそ7メートルあり、口には非常に鋭い歯がぎっしりと並び、ヒレ状の四肢には力強い筋肉が備わっていた。
サメはたくさんの歯を持っているが、エサにかみつくたびにたいていその一部を失う。 抜けた歯は再び生えてくるようになっている。島田氏の研究チームがフタバスズキリュウの化石から取り外した歯を分析した結果、元の持ち主のサメたちは同種に属するが、大きさや形が異なることが判明した。
ドイツのシュトゥットガルトにある州立自然史博物館に所属する古生物学者ユルゲン・クリーヴェット(Jurgen Kriwet)氏は、今回の研究を受けて次のように話す。「つまり、年齢の異なるサメが群がって1つのエサに食いついていたということになる。ただし、同時に集まっていたとは限らない。例えば、現代のホホジロザメの場合、若者たちは集団でガツガツとエサに食いつくが、体の大きな大人のサメがやって来るとすぐに逃げ出す。古代ザメの場合でも同じように、若者たちを追い払って大人が横取りしたのかもしれない」。
さらに判断が難しいのは、サメが襲いかかったときにフタバスズキリュウは生きていたのか、傷を負っていたのか、それとも既に死んでいたのかという点だ。クリーヴェット氏は、「私たちも、同じくらいの大きさのサメが自分より大きな動物の死骸をエサにしている場面に出くわすことがある。もし大きな相手に攻撃を仕掛けるにしても、手負いの場合がほとんどだ」と話す。
デポール大学の島田氏も、「このフタバスズキリュウは死んでいたか、死にかけていたかのどちらかだろう」と話す。「健康なフタバスズキリュウなら、これくらいのサメを簡単にたたきのめすはずだからだ」。
今回の最新研究は、イギリスのブリストルで先週開催された古脊椎動物学会(SVP)の年次会合で発表された。
Pictures courtesy Kenshu Shimada









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