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人類が銀河系の深奥に向けて進出するにあたり大きな障壁となるのは、宇宙船に便乗する突然変異の細菌かもしれない。どんなに健康な宇宙飛行士でも、病原性の大腸菌やブドウ球菌といった細菌を保有している可能性が高いからだ。
宇宙空間を飛び交う荷電粒子、別名“宇宙線”は、本来ならば特に問題のない細菌を変化させ、増殖と強毒化を促すことが最新の研究で明らかになった。
同時に、宇宙線にさらされながら長期間を無重力状態で過ごすことで、人間は免疫系が弱り病気にかかりやすくなるという。今回の研究では、高度な医療体制が整っていない宇宙船で病気が発現すれば、火星以遠の有人探査ミッション遂行は難しくなると述べられている。
研究チームの1人で、フランスにあるナンシー大学で免疫学を研究するジャン・ポル・フリッピア(Jean-Pol Frippiat)氏は、「ミッションで分析や研究を計画通りに遂行できなければ、人類を火星に送り込む意味などなくなってしまう」と話す。フリッピア氏ら研究チームは、宇宙飛行が及ぼす人間や動物、病原体への影響に関する150以上の調査結果について分析を行った。
地上の人間は宇宙線の影響から守られている。宇宙線粒子のほとんどは地球磁場の偏向作用によって地上まで届かないからだ。ところが宇宙空間では磁場のバリアが期待できないため影響は避けられず、細胞内のDNAが変異してしまう。
さらに、無重力状態も人間の健康を害する要因となる。無重力環境では細胞内の構造が変化するためだ。免疫系は、細胞間の相互作用によって有害な病原体を排除しているため、無重力環境によって受ける影響は大きい。
ある研究によれば、宇宙から帰還したばかりの宇宙飛行士の白血球は、大腸菌を見つけ出して破壊する機能が低下していることがわかったという。大腸菌は、そのまま放置すれば激しい腹痛や嘔吐、下痢を引き起こすほか、腎臓や血球に損傷を与えて致命的な合併症を来たすこともある。
「長期間にわたるミッションでの宇宙飛行士の健康維持は、NASAをはじめとする宇宙機関にとって大きな課題になるだろう」と、ビンガムトン大学で研究担当副学長を務める免疫学者のジェラルド・ソネンフェルド氏は話す。
同氏は今回の研究には参加していないが、「免疫系には、長期間にわたる宇宙飛行で弊害が生じかねない問題が潜んでいる。この問題の究明には真剣に取り組む必要がある」と述べている。「ただし、これは解決不可能な問題ではない」とも同氏は付け加えている。カギとなるのは免疫機能を高めるビタミンや化合物だ。研究チームも今後の研究に活路を開くものとして期待を寄せている。
一方で、飛行時間を短縮すれば宇宙飛行士へのリスクを軽減することができると考えるのは、かつてはNASAの宇宙飛行士だったカリフォルニア大学サンフランシスコ校の免疫学者ミリー・ヒューズ・フルフォード氏だ。「NASAは現在、火
ビンガムトン大学のソネンフェルド氏によれば、かつては宇宙飛行士の健康に関して現在よりも盛んに研究が行われていたという。「しかし、飛行時間を短縮すれば、長期にわたる宇宙ステーションのミッションであっても、それほど深刻な問題にはならないと宇宙機関は判断した。そのため、関心がそれて予算も削減されたのだ」と同氏は話す。「現在はNASAが長期ミッションを検討中だ。宇宙飛行士の健康については、再び研究されることになるだろう」。
今回の研究結果は「Journal of Leukocyte Biology」誌2009年11月号で報告された
Photograph courtesy NASA

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