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にわかには信じられない話だが、台風が発生するとある種の地震が起きるらしい。しかもそれは歓迎すべき現象なのだという。それは“スロー地震”と呼ばれるもので、地殻変動でもたらされた断層のひずみによるエネルギーが、数分から数日かけてゆっくりと解放された場合に発生する地震だ。
スロー地震の揺れは非常に微弱であるため、通常の地震計では検出されず、ましてや人が感じることもないが、科学者たちはこのタイプの地震に大きな関心を寄せている。スロー地震によってもっと大きな範囲の地震エネルギーが緩和され、大規模な地震の発生が抑制されている可能性があるからだ。
ワシントンD.C.にあるカーネギー研究所のアラン・リンディ氏率いる研究チームは、台湾の東海岸に高感度の地震計を設置し、微弱なスロー地震の記録を行った。その結果は驚くべきものであり、スロー地震と台風の間に強い関係性があることが確認された。
5年という研究期間で、スロー地震は台湾の台風シーズンにしか発生せず、台風と同時に発生したスロー地震が11回もあったのである。「台風がスロー地震の引き金になっているなんて、研究結果が出るまでは考えもしなかった」と、リンディ氏は感想を述べている。導き出された結論に驚きはしたが、不合理な話ではないと研究チームは考えている。
低気圧である台風が海上にある場合は、海面水位が局地的に変化することで海底にかかる圧力のバランスが保たれている。「しかし、台風が陸上にある場合はそのようなバランス保持が行われないため、陸にかかる圧力がわずかに低下することになる」とリンディ氏は解説する。
つまり、台風によって引き起こされるこのようなバランスの崩れが最後の一押しとなり、ひずみを起こす寸前の状態にあった断層が実際に動き出すという仕組みだ。「台風は最終的な引き金となるだけであり、その前の時点で断層運動の準備が整っていなければスロー地震は起こらない」という。
今回の研究成果によって種類の異なる地震の発生原理が解明されれば、地震予知の精度が向上するかもしれない。
例えばスロー地震は、世界の特定の地域で地震エネルギーを緩和させているのではないかと推測されている。台湾は地震運動が多いにもかかわらず大規模な地震被害が発生していないが、その理由はスロー地震にあるのかもしれない。
「地球は実に複雑にできている。断層運動に関する新しい情報は、どのようなものであっても必ず何かを教えてくれる」とリンディ氏は話す。
今回の研究成果は、今週発行の「Nature」誌に掲載されている。
Photograph from AP

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