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この鳥が発するバイオリンのような鋭い音はさえずりなのかそれとも羽の振動なのか。南アメリカのマイコドリは鳥類学者たちにとって長年の頭痛の種だったが、どうやら決着が付きそうだ。科学者チームが、クチバシからではなく特殊に進化した羽の振動から発生していることをつきとめたのだ。
今回の研究によって、鳥類が飛行や体温維持だけでなく“音声コミュニケーション”にも羽を使っているという確かな証拠が初めて示された。
キンバリー・ボストウィック氏は2005年に、アンデスの雲霧林に生息するキガタヒメマイコドリのオスは、メスの関心を引くために羽の振動を利用しているという理論を発表した。尾根部分が空洞の“こん棒(club)”のようになった羽を、隣の畝(うね)模様の羽に対して振動させ求愛音を発するという考え方だ。
だが、羽と音の関係を実証することは難題だった。ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学脊椎動物博物館で鳥類・哺乳類担当学芸員を務めるボストウィック氏は次のように回想する。「ディスプレーの様子を観察しながら、羽の様子を調べるのは非常に難しかった。何度も音を聞いているうちに、羽から音が出ているのかもしれないと思うようになった」。
そこで、ボストウィック氏のチームは、奇妙な音の発生の仕組みを調べるために羽の標本を採取して研究室で分析することにした。
以前の研究から、キガタヒメマイコドリの発する音は1500ヘルツ(1秒間に1500回の振動)の周波数であることがわかっていた。2種類の羽で音を作り出しているのであれば、実験ではそれらの羽が同じ周波数で振動するときに音が鳴り響くはずだ。
研究チームは“ミニシェーカー”という実験装置で羽を振動させながら、レーザーを使って観察した。実験用の羽が正確に1500ヘルツで振動したとき、まさにあの音が発生することが実証された。
だが、予想外の展開があった。“こん棒”タイプの羽と畝模様の羽は、単なる“デュエット”ではなく“室内管弦楽団”の一部であることが判明したのだ。
ボストウィック氏は驚いたという。キガタヒメマイコドリの“普通”の羽は1本ずつでは共鳴しなかった。だが、こん棒状の羽に隣接した9本の羽を靭帯につなげたままの状態で実験を行ったところ、9本の羽は約1500ヘルツで振動し、こん棒状の羽と音を調和させて音量を増幅させていた。
今回の結果は、新たに発見された鳥類のコミュニケーション形態のさらなる解明につながるだろうとボストウィック氏は話す。「多くの鳥類が羽を使って単純な羽ばたき音やヒューという風切音を発しているが、音の発生の仕組みや進化についてはまだ解明が始まってもいない段階だ」。

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