南極大陸の氷河からほとばしる血のような色をした水の流れが、先史時代から氷の下に閉じ込められてきた微生物たちのサバイバルの跡であることがわかった。
南極にあるテイラー氷河からは“血の滝”と呼ばれる鉄さび色の水が流れ出しているが、最新の研究によると、この氷河が海に張り出していた150~400万年前に海水とともに閉じ込められた微生物たちが、生きるために数百万年にわたって鉄分を分解してきたという。“血の滝”のショッキングな色合いは、顕微鏡でしか見えないほど小さな微生物の活動の結果であることが明らかになった。
“血の滝”の存在は何十年も前から研究者らの興味を引き付けてきた。というのも、この水の流れはおかしなことに、南極で最も乾燥した「ドライバレー」という地域から流出しているからである。
「ドライバレーは褐色の大地が広がる場所で、白い氷原に青い空という地点もあるが、そこからは真っ赤な滝が流れ出しており、非常に興味深い土地だ」と、研究を率いたダートマス大学のジル・ミクキ氏は語る。
テイラー氷河から流れ出す水は鉄分を多く含み、非常に塩辛いことから、海水が濃縮したものであると考えられている。研究チームが噴出したばかりの水を少量採取して分析すると、微生物のものと思われるタンパク質が含まれていることがわかった。
微生物たちは太古の昔に氷の下に閉じ込められて以来、完全に孤立した状態にあったようだ。氷の下400メートルという環境では光合成に必要な太陽の光も届かず、周囲に食料源も存在しない。そのような状況で生き長らえた理由は、微生物に硫黄と鉄分の化学反応でエネルギーを得る能力があったからだと研究では指摘している。
移動する氷河が鉄分を豊富に含む岩盤を徐々に削り取り、その鉄分を水中の微生物がさらに分解して“血の滝”と呼ぶに相応しい色合いを与えていた。
採取した水には、硫黄を多く含んだ硫酸塩化合物が混じっていることも明らかになった。これは、この水が海水の一部だったころから含有されていたものであると研究ではまとめられている。
「微生物が獲得したこのようなエネルギーの生成方法は、それ自体は珍しいことではないかもしれない。だが、太古の時代にあった全球凍結(スノーボールアース)という非常に厳しい氷河時代には、このような創造的な方法でエネルギーを得ることが、生存に役立っていたのかもしれない」と、同氏は話す。
およそ7億年前に起こった全球凍結の時代には、地球全体が周期的に厚い氷の層に覆われ、海中には大量の鉄分が供給されたと推定されている。
この研究結果は、17日発行の「Science」誌に掲載される。
Photograph courtesy Benjamin Urmston via Science









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