オーストラリアではドライブ中に動物の交通事故が多発している地帯に差し掛かると、GPS衛星からドライバーに減速が指示される。同国のタスマニア島では毎年約30万匹の野生動物が交通事故で命を落としており、この被害を防ぐことが目的だ。
研究者のアリステア・ホブデー氏とメリンダ・ミンストレル氏は3年間で1万5000キロの道路を調査し、交通事故死した動物の記録を取って事故現場を地図におこしていった。そのデータがGPSナビゲーションプログラムに転送されたのである。
「GPSはデータの収集、問題の把握、そして有効な解決策の実現に役立っている」とホブデー氏は説明する。同氏はオース
車載用のGPS端末で休憩エリアやカフェの自動検出を設定できるのと同じように、現在は動物との衝突事故が多発する地帯に接近した際の警告発信も設定できる。
「この技術を全車に導入するようタスマニアのレンタカー会社に働きかけている。特に旅行者は路上で死んでいる動物の多さに恐怖を感じている」とホブデー氏は話す。自動車の反射板や警笛など、ほかの事故対策は効を奏していない。
同氏によると、ポッサムのような比較的に生存数の多い動物が、調査時に事故死していた動物の90%を占めているという。しかし、タスマニアデビルやフクロネコといった絶滅危惧種が事故に巻き込まれるケースも少なくない。特に、同地に生息する夜行性有袋類の多くがエサを探し始める夜明けや夕暮れに多発している。
ガ(蛾)などの虫が夜間走行中の車のライトに引き寄せられる習性が、連鎖反応の起点となっている。道路に集まった虫を目当てに路上に出たポッサムが車にひかれ、その死体に引き寄せられたタスマニアデビルなどの肉食動物がさらに事故の被害に遭うのである。
ホブデー氏によれば、夜間走行の速度を20%落とせば野生動物の事故死が半減する可能性があるという。
この研究の詳細は、「Wildlife Research」誌に掲載されている。
Photograph by Jason Edwards/NGS

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