for National Geographic News
限りなく人間に近い遺伝子を持つ類人猿、ボノボの意外な行動が明らかになった。愛と平和を好み、相互理解に努めると考えられてきたボノボが、ほかの霊長類を殺して食べていることが分かったという。ボノボはチンパンジーの一種で、あいさつや仲直りの印、あるいは単なる親切として性行動を行うことで知られている。絶滅の危機に瀕する彼らがほかのサルを追い回し、捕らえてエサにしているという報告が新たに発表された。
コンゴ民主共和国の自然生息地で採取された排泄物の調査から、ボノボが森の齧歯(げっし)類や小さなレイヨウなどをエサにしていることは既に知られていた。多くの研究者は、ボノボがこの程度の範囲で狩りを行っているとみていたが、ドイツのマックスプランク進化人類学研究所のゴットフリート・ホーマン氏とマルティン・サーベック氏の考えは違っていた。
「ボノボと近隣に住むほかのサルたちは敵対関係になることも多く、昨年にはボノボの糞からブラックマンガベイというサルの指も発見された。別の捕食者が殺した後でボノボが死体をあさったのか、ボノボ自身が殺したのかは不明だが、疑いは強まった」とホーマン氏は語る。
ホーマン、サーベック両氏は6年前に、コンゴ民主共和国のサロンガ国立公園でこれまで研究対象にされていなかったボノボの群れの観察を開始した。その中で、ボノボが移動中に向きを変え、近くの木にいるサルに忍び寄る姿が5度確認されたという。群れの中の数頭のボノボが木の枝に陣取り、じっと上を見上げていたかと思うと、突然登り始めてサルに攻撃を仕掛け、5回のうち2回は獲物を殺して食べているところも目撃されている。
シカゴにあるリンカーンパーク動物園の霊長類学者エリザベス・ランスドルフ氏は、「この研究結果を知って、ああやっぱり!と思った」という。「ボノボが“平和”な動物だという考えはしっくりこなかった。飼育状態にある類人猿はみな、おりに紛れ込むリスなどを狩ろうとするし、ボノボも例外ではない。このような調査結果が報告されるのを待っていた」とランスドルフ氏は話している。今回の研究で、ボノボの社会組織に関する見方が変わるだろうと専門家はみている。
この研究では、メスのボノボがオスに負けないほど上手に狩りをするという興味深い実態も判明した。チンパンジーの場合、メスが狩りに参加することはまれで、積極的に役割を果たす姿は確認されていない。一方、「ボノボのメスは自ら木に登ってオスと同じくらい効率的にサルをしとめる」とホーマン、サーベック両氏は報告している。
これまでボノボは遭遇した別種のサルと友好的な関係を持つといわれてきた。シロクロコロブスというサルの赤ん坊を借りてきて、おもちゃのようにして遊んでいるところや、アカコロブスと互いに身づくろいをしている光景も目撃されている。
「こうした遊び相手も状況が変われば簡単にエサにされている可能性がある。チンパンジーの例では、子どもが遊んでいたヒヒの赤ん坊を大人が数日後に狩りの獲物としたこともあった。ボノボでも同じようなことは簡単に起こるだろう」と前出のランスドルフ氏は指摘している。
Photograph by Finbarr O'Reilly/Reuters

印刷用ページ
友人に教える





















