for National Geographic News
現存する人間に最も近い生物はチンパンジーではなくオランウータンだ。こう主張する最新の研究論文が議論を呼んでいる。
この結論は、オランウータンと人間が身体的に酷似していることに基づく。論文の執筆者によると、人間をチンパンジーと結び付ける遺伝的な証拠の存在によって、この事実が軽視されてきただけだという。しかも、遺伝的な証拠そのものに欠陥があると、執筆者は主張している。
ニューヨーク州にあるバッファロー科学博物館のジョン・グレハン氏とペンシルバニア州にあるピッツバーグ大学のジェフリー・シュワルツ氏によると、多くの科学者が引き合いに出すDNA鑑定は人間とチンパンジーのゲノムのごく一部しか調べていないという。しかも、はるかに多くの動物が共有する古いDNAの形質がいくつも、人間とチンパンジーの類似点として挙げられている可能性がある。
一方、人間とオランウータンは固有の身体的な特徴を少なくとも28個共有する。チンパンジーは2つ、ゴリラは7つしか共有していないと、論文には記載されている。
この研究結果は、人間の起源を根本から考え直すきっかけになるかもしれない。ただし、現在は警戒感が先に立っている。「多くの古生物学者や分子生物学者がこの論文を一笑に付している」。ロンドンにある自然史博物館のピーター・アンドリュース氏はそう指摘する。アンドリュース氏は今でも人間とチンパンジーの結び付きを支持しているが、論文の執筆者たちには発表を勧めた。
「これは物議を醸す論文だ。それでも、世に出す必要があるテーマだと思う」とアンドリュース氏は言う。
2005年、チンパンジーのゲノム配列が解読され、人間とチンパンジーは遺伝学的に96%同一であると直接的に証明された。
しかし、グレハン、シュワルツの両氏によると、身体的な特徴に注目した場合、オランウータンの方が類似点が多いという。オランウータンと人間が共有する示唆的な特徴は、エナメル質が厚く表面が平らな大臼歯、ほかの動物より非対称な右脳と左脳、前腕の軟骨と骨の比率に大きな差があること、肩甲骨の形などだ。
「口蓋の穴は人間に固有のものとされてきたが、オランウータンにもある」とシュワルツ氏は指摘する。シュワルツ氏はまた、「人間とオランウータンはほかの動物より乳腺が広範囲に分布している。また、最も髪を長く伸ばす動物でもある。ほぼすべての霊長類と異なり、生え際が存在し、そこから目の上まで髪を下ろす」と続けた。
シュワルツ氏らはさらに、アフリカやヨーロッパで化石が発掘された古代の類人猿の歯とあごに、オランウータンのような特徴を見いだした。シュワルツ氏らは独自の分析に基づき、「人間とオランウータンは共通の祖先を持ち、(現存する)アフリカの類人猿はそこに含まれていない」と述べている。
しかし、オランウータンは東南アジア原産のため、問題が生じる。アフリカで進化した人間が地理的に離れたオランウ
人間はチンパ
自然史博物館のアンドリュース氏は、「チンパ
一方、自然保護団体ボルネオ・オランウー
イギリス、ケント大学の人類学者ニック・ニュートン=フィッシャー氏は、今回の論文で示された人間の進化の道筋を「奇抜な発想」と表現する。「遺伝的な特徴による証拠の重さを考えれば」、今回の研究結果はとても受け入れられないと同氏は述べた。
今回の研究論文は「Journal of Biogeography」誌の6月号に掲載されている。
Chimpanzee photograph by Cary Wolinsky
Orangutan photograph by Vincent J. Musi

印刷用ページ
友人に教える





















