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長い回遊を行うキタゾウアザラシは、ゆっくりと海中に沈みながら海の中で眠ることが、その潜水行動パターンに関する最新の研究で明らかになった。
キタゾウアザラシは、カリフォルニアの繁殖地から、北太平洋沿岸部からアラスカ周辺にかけての越冬地へ移動する間に、一度も寄り道することなく2~8カ月を海で過ごす。3000キロから5000キロにも及ぶ回遊中に上陸できる陸地はなく、水深が数千メートルに達する場所も多い。
この過酷な旅については、海洋哺乳類であるゾウアザラシがいつ、どのようにして眠るのかという大きな謎があった。
長い回遊の間に、ゾウアザラシが300メートルを超える深さまで何度も潜水を繰り返していることはかなり以前から知られていたが、その際に背を下に向けて沈んでいく場合があることが、若いゾウアザラシに関する今回の研究で明らかになった。
研究の共著者であるアラスカ大学フェアバンクス校のラッセル・アンドリューズ氏によると、ゾウアザラシはゆらゆらと海中を舞い降り、ほとんどの場合、螺旋状の軌跡を描きながら海底に向かって沈んでいくという。「木の枝から、はらはらと舞い散る木の葉に似ている」。目的もなくゆっくりと漂うようなこの行動は、ゾウアザラシの休息であり、睡眠もとっているのだろうと推測されている。
クジラやイルカなどの海洋哺乳類は、脳の半分だけを停止して移動しながら眠っていると考えられている。水面を漂いながら、捕食者への警戒を解かずに脳の一部を休ませるのである。
しかしゾウアザラシは回遊中に水面にいる時間が数分間に及ぶことはまれで、イルカやクジラが実験で示したように脳の一部を停止させることもない。「ゾウアザラシは休息と警戒を同時にはできないようで、別の方法をとっているのだろう」とアンドリューズ氏らは推測した。
これを探るために、東京にある国立極地研究所の三谷曜子氏が率いる研究チームは、カリフォルニア州のアニョ・ヌエボ州立保護区で6頭の幼いゾウアザラシに、泳ぐ速度、水深、温度、三次元の移動経路、位置のデータを記録する「データロガー」という小さな装置を取り付けた。
そしてアザラシを約35~70キロ離れた場所で放ち、保護区へと戻っていく行程を追跡した。アザラシは1~5日間かけて保護区に到着した。
アンドリューズ氏は次のように話す。「思ったとおり、アザラシたちは保護区に泳ぎ着くまでの間に、太平洋を回遊するときと同じように何度も繰り返し海中深く潜っていた。」。
潜水行動の中には、木の葉のようにゆらゆらと海底に向かって舞い降りるケースもあったことが、データロガーの記録から明らかになった。三谷氏の研究チームは、このような方法なら潜るスピード抑え、位置をあまり変えずに休息を取ることが可能になると考えている。
三谷氏によると、深いところで眠るのは身を守るためではないかという。この方法を取れば、捕食者が少ない場所で休むことができるからだ。
この研究結果は「Biology Letters」誌オンライン版で10月28日に公開されている。
Photograph by Your Shot user Karen Seagle

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