食事の席で親しい女性から「それ一口ちょうだい」とお願いされたら、男としては笑みを浮かべて「どうぞ」と答えねばなるまい。では、オランウータンの場合はどうなのだろう。
新しい研究によると、オランウータンのメスはオスのエサに手を出してそのときのオスの反応をうかがい、繁殖相手として適当かテストしているということがわかった。オスが乱暴な反応を示したり、エサを取り返したりすると、メスは悲鳴を上げ、オスが寛容な態度を示した場合よりもはるかに早く関わりを断ち切る傾向があった。
進化の観点から判断して、この行動は理にかなっていると専門家らは指摘する。なぜなら、攻撃的なオスとの関係では、メスは極めて不利な立場に置かれる可能性があるからである。
「他のオスに対して攻撃的なオスは、メスにとって魅力的かもしれない。しかしその攻撃性がメスに向けられると、メスは交尾のタイミングと相手を自由に選べなくなる。なぜなら、オスが望むように行動しないと攻撃を受けることになるからだ」と、研究を主導したチューリッヒ大学のマリア・ヴァン・ノールドワイク氏は説明する。また同氏は、「木から振り落とされるような攻撃を受けた場合、メスは打撲や骨折といったケガを負うことになる」とも述べている。
エサの横取りに寛容だからといって、メスがすぐさまそのオスと交尾をするわけではないらしい。研究ではそのような行動は観察されなかった。しかしヴァン・ノールドワイク氏は、「メスは、エサの横取りという行為でオスの攻撃性をテストできる。付き合いを続ける価値が相手にあるかどうか判断しているのだ」と解説する。
この研究は、オンラインジャーナル「Behavioral Ecology and Sociobiology」で3月10日に発表された。
Photograph by Steve Raymer

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