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アメリカ最長の河川、ミシシッピ川の河口付近に広がるデルタ地帯が水没の危機にあるという新しい研究成果が発表された。その予測によると、ミシシッピ・デルタの海岸線が今後数十年で形状変化をきたすことは必至だという。
アメリカのルイジアナ州立大学に在籍する研究論文の著者マイケル・ブルーム氏は、「河川の土砂供給が不足しており、デルタの規模を維持できなくなってきている」と話す。
デルタとは、川の上流から運ばれてきた土砂が河口に沈積して形成される三角形の地形のことだ。三角州とも言う。ルイジアナ州南部のミシシッピ・デルタは上空から見ると鳥の足跡のように見えるため、鳥趾状(ちょうしじょう)三角州と呼ばれている。
川の上流から押し流されてきた土砂は堆積物として定着して沈み込むため、デルタの規模は常にある程度は縮小するものだ。それでも川から定期的に土砂が供給されていればデルタの規模は維持され、場合によっては拡大することもある。
現在、ミシシッピ川に沿って蓄積された堆積物は約6万500平方キロに及んでいる。その厚さはさまざまで、中流部のテネシー州メンフィス付近では10メートルに満たないが、ルイジアナ州最南端のデルタ地帯では100メートル近くもあるという。
しかし、全長約3782キロに及ぶミシシッピ川の流域には、この100年で約4万基のダムや堤防が作られてしまった。治水が目的だが、これらの構造物のせいで土砂が途中でせき止められたり、逆に洪水時にはすべてが排出され一気に海まで押し流されてしまうこともある。
ある研究によると、1950年以降にミシシッピ川流域に建設されたダムや貯水池によって、川を流れる土砂の70%がせき止められてしまっているという。実際に今も、そのように土砂の供給量が減少しているため、ミシシッピ・デルタは浸食が進んでいる状況にある。
しかし、浸食の原因は土砂の不足だけではないという。研究チームは、「たとえダムや堤防が存在せず、土砂が自然に流れたとしても、ミシシッピ・デルタの浸食は止まらないだろう。原因は海面水位の上昇だ」と指摘する。
過去1万2000年の間に起きたミシシッピ・デルタの拡大・縮小の推移(推定値)を分析した結果、研究チームはこのような結論を導き出した。このデータによると、7000年以上前に大規模な変化が起こっている。最後の氷河期が終わるとともに氷床の融解水が急速に海に流れ込み、海面水位が上昇したことだ。
この頃、ミシシッピ・デルタの海岸線は後退している。その後、海面上昇率が著しく鈍化するまでデルタの拡大は起こらなかった。
しかし現在の海面上昇率は、以前にデルタの面積が拡大した際の海面下降率と比べると、進行スピードが3倍にも及んでいると考えられている。
このような海面上昇が著しく進んでいる状況では、ミシシッピ・デルタの現在の規模を維持するのに180億~240億トンの土砂が必要になるが、ミシシッピ川の現在の土砂供給量では到底まかなうことはできない。
このため研究チームは、ミシシッピ・デルタの面積は2100年までに1万3500平方キロも減少すると予測している。コネティカット州が丸ごと消えてしまうに等しい大きさだ。
現時点で決定的な解決策は存在しない。土砂の流れを変えたり、余所から土砂を持ち込んだりといったデルタ救済策も検討されているが、このような方法には問題もあると研究チームは考えている。
ブルーム氏は次のように解説する。「例えば上流のニューオーリンズなどから下流域へ土砂を人為的に運ぶことは可能だ。だがそれをやれば、今度は上流域が浸水の危険にさらされることになる。どちらを選ぶか、選択は難しい。しかし、躊躇している時間的な余裕はない」。
Images courtesy Mike Blum via NASA









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