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イギリス南部のソールズベリー、有名な巨石遺跡ストーンヘンジから直線距離にしてわずか1.6キロほどの川岸で“ミニストーンヘンジ”が見つかった。発掘チームによると、この直径10メートルの遺跡は、先史時代の火葬場であった可能性が高いという。
古代ブリトン人は“死者の領域”であるストーンヘンジと11キロほど離れた“生者の領域”との間を行き来していたと考えられており、5000年前に建設されたミニストーンヘンジもその経路上で重要な儀式的役割を果たしていたようだ。
ミニストーンヘンジは、大昔に並べてあったはずの石の色から「ブルーストーンヘンジ(Bluestonehenge)」や「ブルーヘンジ(Bluehenge)」とも呼ばれている。しかし、遺跡自体は数千年前に解体されており、石柱のほとんどは“本家”のストーンヘンジの改築時に移送され統合されたのだという。
この遺跡は今年8月、イギリスにあるシェフィールド大学のマイク・パーカー・ピアソン氏の率いる発掘チームがエイボン川沿いの土手で発見した。中心部には推定25個のブルーストーンが円状に配置されていたと考えられ、その周囲は溝と盛り土で作られた土塁で構成されていたという。
正確な年代は、この遺跡で見つかった先史時代のシカの角に、放射性炭素年代測定法を実施して調べるという。角は当時“つるはし”として使われていたらしい。
パーカー・ピアソン氏は次のように話す。「硬いドレライト(粗粒玄武岩)の岩石でできた重さ4トンの巨石は、240キロ離れたウェールズのプレセリー山にあった古代の採石場で切り出されたものだ。石の運搬に必要な労働力や輸送体制を考えると、巨石が古代ブリトン人にとっていかに重要な意味を持っていたか計り知れない」。
ストーンヘンジは夏至と冬至の太陽の動きに合わせて設計されているが、ミニストーンヘンジは特定の方角を意識した造りにはなっていないようで、“入り口”と呼べるものさえ存在しないという。
また、この遺跡には人々が生活をしていた痕跡も存在しない。生活の場であれば陶器や動物の骨、装飾品などさまざまな出土品が見つかるはずであり、例えば、2007年に発見されたストーンヘンジの近くの石器時代の村、ダーリントンウォール遺跡では生活の痕跡が数多く発掘されている。
それに対し、ミニストーンヘンジの空になった石柱跡の穴の中には木炭が詰まっていた。大量の木がここで燃やされていた証しであり、この地が先史時代の火葬場であったことがうかがえる。ストーンヘンジの柱跡の穴からも火葬処理された遺骨がいくつも見つかっているが、これは偶然の一致ではないだろう。
「おそらくミニストーンヘンジは火葬場で、その遺骨はストーンヘンジに埋葬されたものと考えられる」とパーカー・ピアソン氏は話す。同氏は以前から、「ストーンヘンジは祖先崇拝を行う古代ブリトン人にとって“死者の領域”だった」という説を唱えている。「ミニストーンヘンジは、死者がストーンヘンジに向かって最後の旅を開始する場所だったのではないだろうか。まだあまり知られていないが、ストーンヘンジは当時イギリス最大の墓地だったのだ」。
近年、ストーンヘンジの謎をめぐるパズルが徐々に埋まりつつあり、今回のミニストーンヘンジもその重要な1ピースになると考えられる。
発掘チームの一員でイギリスにあるマンチェスター大学のジュリアン・トーマス氏は、「もともとミニストーンヘンジにあった25個のブルーストーンは、ストーンヘンジに組み込まれたと考えられる。ミニストーンヘンジにブルーストーンがわずかしか残っていなかったのは、まとめて運び出されたためだろう」と話す。それは紀元前2500年ごろに実施されたストーンヘンジ大改築のときだと考えられる。「ミニストーンヘンジは、初期段階のストーンヘンジと同時代の可能性が非常に高い」とトーマス氏は話す。
パーカー・ピアソン氏によると、ミニストーンヘンジの立地場所が非常に大きな意味を持つという。エイボン川沿いにあり、ストーンヘンジへと続く土で固められた2.8キロの道の開始地点となっているのだ。
従来の発掘調査を基に、パーカー・ピアソン氏の発掘チームは当時の姿を次のように描いている。ダーリントンウォールでは季節的な祭礼が行われていた。ストーンヘンジの周辺地域に住む人々の中には、宗教的にこの地を“生者の領域”と考えていた者もいたようだ。
死者が出るとまずダーリントンウォールで葬式が行われ、遺体は近道を通ってエイボン川まで運ばれる。葬列は船に乗って川の中を進み、ストーンヘンジへと続く道の入り口に到着すると川から上がる。ミニストーンヘンジはこの船着き場だったのだ。ここで遺体を火葬し、引き続きストーンヘンジで埋葬儀式が行われていたとみられる。
発掘チームのトーマス氏は次のように話す。「ミニストーンヘンジの役割は未確定だが、ストーンヘンジ一帯に広がる大規模な複合宗教施設に関係することは間違いない。私たちは、建造物は人間の文化、川や山は自然のものとして区別しがちだ。しかし、ストーンヘンジの複合宗教施設は、異なる両者の要素が巧みに織り合わされている。このような建造物を造ることは、単に地表に文化的な装いを施すというだけでなく、実際には世界を再構築していたのだ」。
Bluestonehenge illustration by and courtesy Peter Dunn

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