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コウモリは通常、自分が発した音が何かにぶつかり、その跳ね返ってきた音により距離を測る。そうして障害物を回避し、獲物の位置を突き止めるのだ。しかしその生まれ持った超音波探知機を仲間と一緒に飛ぶときには停止して、混線状態を防いでいる種がいることが分かった。“消音飛行”ともいうべきこの行動は、哺乳類同士の積極的な協力関係を示しているのかもしれない。
この発見は、飼育状態にあるビッグブラウンバット(Eptesicus fuscus)というコウモリの群れの調査で明らかになった。このコウモリは獲物を追うときに自分が発する音波信号を調節していたという。メリーランド大学聴覚神経動物行動学研究所のシンシア・モス氏によると、このコウモリは最大で800ミリ秒間、音波探知機を止めていることが判明した。
モス氏は「人間にとってはとても短時間に思えるが、コウモリにしてみれば十分に長い時間だ。獲物の昆虫から跳ね返る音を探知するには1秒もかからないし、攻撃態勢に入るまでの待機時間も20~50ミリ秒程度にすぎない。600~800ミリ秒も静かにしていれば彼らにとっては十分だ」と述べている。
イギリス、リーズ大学の生物学者リチャード・ホランド氏は「これは、コウモリが仲間の声に耳を傾けていることを示唆する興味深い発見だ」と話す。同氏はこの研究には関わっていないが、「コウモリが自分だけではなく、ほかのコウモリの音も聴いている可能性については数多く指摘されてきたが、今回初めてそれが実証された」と評価している。
もっとも、この消音行動の目的については、理論的に説明がつくだけの段階にとどまっている。前出のモス氏によると、「消音行動をとるコウモリは別のコウモリの後ろを飛んでいることが多く、先導するコウモリの音声やその反響を聴くには良い位置にいるといえるが、コウモリの間にチームワークが存在するかどうかははっきりしていない」と語る。
それでも、モス氏とホーランド氏はともに、この行動が長らく議論されてきたコウモリの謎を解く鍵になるかもしれないと考えている。「例えばカールズバッド洞窟のように、毎晩、何百万というコウモリが飛び交っている場所では、いったいどうやって自分の音声の反響だけを聴き分けられるのか。そう考えると消音行動が取られている可能性は高く、十分にあり得ることだ」とホーランド氏は推測する。
また、「音波探知機を停止したコウモリは、自分の反響音が聞こえない状態で飛んでいることになるが、それを補うための方法もあるのだろう」とモス氏は語る。「障害物を避けるために、なじみのある環境では空間記憶に頼っているのかもしれないし、月明かりの中で視力を利用している可能性もあるだろう」。
この研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌で発表されている。
Photograph by Michael Durham/Minden Pictures/NGS

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