National Geographic News
地球は、周囲を取り巻くいくつもの磁気層によって熾烈な太陽風から保護されているが、最近の研究により、いままで知られていなかった磁気層が新たに特定された。
磁気層は大気圏の外側に広がる磁気圏に存在する。イオンや電子などの有害な太陽風から、磁場によって地球を保護する役割を担っている。
アメリカ、テネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学の物理学者チャールズ・チャペル氏が率いる研究チームは、収集した過去数十年間のデータから、新しい磁気層を特定した。この磁気層を特定するきっかけとなったのは、1970年代初頭に調査衛星から送られたデータだった。磁気層は、2008年4月に12年間の観測を終えたNASAの極地観測衛星「ポーラー」によってようやく確認された。
この磁気層の発見により、地球磁気圏の中で既に知られているどの領域にも当てはまらなかった粒子について、その理論的な土台が確立されたとチャペル氏は話す。「実際、新たに発見された磁気層の粒子は、それ以外の領域には適合しなかった」。発見された磁気層は、人が長いマントを着て馬に乗っている姿に似ているため、チャペル氏らはこの層を“プラズマのマント(warm plasma cloak)”と呼んでいる。プラズマとは、電離した気体のことである。“マント”の端は、太陽風の流れに沿って波打っている。
この“プラズマのマント”は、地球の夜側(太陽の反対側)から湧き出し、昼側(太陽側)に回り込みながら、「正午の位置」(太陽と地球を結ぶ直線上の位置)にかけて徐々に厚みを増していく。厚みが最大となる「正午の位置」を過ぎると、対流風によって磁気圏の界面方向に押し出され、太陽風の作用により剥離する。“プラズマのマント”の分布域は、地球との位置関係や太陽風のエネルギーによって異なるが、おおむね高度2万~10万5000キロメートルの範囲内に位置し、その厚みは地球の昼側で常に最大となる。
太陽系内で最も注目を集めている磁場は、木星の磁場である。チャペル氏はこう話す。「木星の磁気圏は、もし目で見ることができれば、太陽よりも大きく、太陽系では最大の物体となる」。
地球の磁気圏は、太陽風の風下方向へ長く引き伸ばされている。その長さは百数十万キロ以上に達し、月の軌道とも交差している。ここ数年、地球の磁場の影響で多数の人工衛星に障害が出ている。これまで確認されてなかった“プラズマのマント”も、その原因の一端となっていたと考えられる。
「“プラズマのマント”は、通信衛星や気象衛星の軌道とも重なっている。そのため、こうした人工衛星の帯電量に影響を与えることになる」。また地球の磁気圏は、太陽風の変化によってかく乱されると、地上の電力システムに急激な電圧変化を引き起こす場合がある。これは、停電や無線通信の干渉、GPS信号の妨害にもつながる。
今回の発見について、ニューメキシコ州にあるロスアラモス国立研究所のマイケル・トムセン氏は、「興味深いだけでなく、実用性も高い」と評価する。また同氏は、「“プラズマのマント”という名前はとても印象に残る。磁気圏の正式な分類名に加えてもいいのではないか」とも話している。
Image courtesy Rick Chappell









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