コーヒーショップを通り過ぎて少し歩くと9500万年前の“ロストワールド”が出現する。そのような不思議な光景がアメリカ、テキサスの主要都市の1つ、アーリントンで実際に見られる。ここでは恐竜やサメをはじめとした先史時代の多様な動物の化石がその糞石とともに発掘されており、調査結果の詳細が今週報告された。
さまざまな化石により、現在とはまったく異なる白亜紀(1億4600万~6600万年前)のテキサス州の姿が具体的に描き出される。
発掘現場では、まだ名前のない新種の中型獣脚類も発見されている。獣脚類とは2足歩行の捕食性恐竜のグループで、ティラノサウルス・レックスが有名だろう。また、アヒルのようなクチバシを持つプロトハドロスの骨が過去にはなかったほど完全な状態で見つかった。プロトハドロスは、カモノハシ恐竜とも呼ばれるハドロサウルスの原始種といわれている。
ほかにも、ワニやカメ、魚類、古代植物の化石が発見されている。中には長さ180センチを超える古代樹の丸太もあった。
この場所は「アーリントン主竜類発掘現場(Arlington Archosaur Site)」と呼ばれている。主竜類(Archosaurs)とは恐竜やワニ、鳥類などを含む分類名で、「支配的な爬虫類」を意味するギリシア語に由来する。発掘現場は2003年に初めて発見されたが、古生物学者による発掘作業が始まったのは2008年春のことだった。そして、調査結果の詳細が17日、テキサス州ダラスで開催されたアメリ
テキサス大学アーリントン校の古生物学者デレク・マイン氏は、「化石発掘現場は、かなり都市化の進んだ地域にある。何本もの主要幹線道路が街を取り囲み、通りにはスターバックスもある」と話す。
しかし、数々の化石が古代の姿をよみがえらせる。テキサス州の大部分はかつて海の中にあった。巨大な内海が一面を覆い、北アメリカ大陸を分断し、メキシコ湾と北極海をつないでいたのだ。当時、アーリントンは海抜の低い沿岸平地であったと考えられている。現在のミシシッピ川河口にあるデルタ地帯とは異なり、湿地帯から徐々に浅い海へと移り変わっていく、そんな場所だった。
アーリントンの発掘現場では、骨以外にも、糞が化石化した糞石(コプロライト)が多数見つかっており、種類の豊富さは北アメリカでもトップクラスを誇る。
「化石が見つかれば、たいていの場合その動物の糞も見つかる。分析の結果、糞石の内部から、砕けた骨や植物、貝殻、さらにはサンゴなど、さまざまな成分が検出された。すべてが先史時代の動物の行動や食生活を知るための大きな手掛かりとなる」とマイン氏は話す。
古生物学者たちは、ほかに例を見ないこの発掘現場から、さらに詳細な調査結果がもたらされることを待ち望んでいる。
テキサス州にあるフォートワース科学歴史博物館の科学部門学芸員のアーロン・パン氏は、今回の報告を受けて次のように話す。「アーリントンの発掘現場ほど古い時代までさかのぼることのできる化石発掘現場はそれほど多くない。白亜紀初期の恐竜の化石は全体的に希少なのだ。また、これほど多種多様な生物が混在して発見される場所は、ほかにはほとんどないと言っていいだろう」。
Illustration by Clinton Crowley/UTA, courtesy Derek Main

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