July 13, 2010
母胎から出た後のヒトの脳で最も成長する領域は、サルからヒトに進化する過程で最も大きくなった領域と同じだとする最新の研究が発表された。
12人の幼児の脳と12人の若者の脳をMRI画像で比較したところ、ヒトの脳は成長するにつれて“驚くほど不均一に”大きくなることがわかった。ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学の神経生物学者で研究を率いたジェイソン・ヒル氏によると、言語や推論など高度な認知・遂行プロセスに関与する脳の領域は、視覚や聴覚といった五感に関わる領域の約2倍の大きさに成長することが研究で明らかになったという。「最も大きく進化してヒトをヒトたらしめている脳の部分は、生後に最も成長する傾向のある領域と同じだ」。
ヒル氏の研究チームはまた、今回撮影したヒトの脳の画像をマカク属のサルの脳の画像と比較した・・・
12人の幼児の脳と12人の若者の脳をMRI画像で比較したところ、ヒトの脳は成長するにつれて“驚くほど不均一に”大きくなることがわかった。ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学の神経生物学者で研究を率いたジェイソン・ヒル氏によると、言語や推論など高度な認知・遂行プロセスに関与する脳の領域は、視覚や聴覚といった五感に関わる領域の約2倍の大きさに成長することが研究で明らかになったという。「最も大きく進化してヒトをヒトたらしめている脳の部分は、生後に最も成長する傾向のある領域と同じだ」。
ヒル氏の研究チームはまた、今回撮影したヒトの脳の画像をマカク属のサルの脳の画像と比較した。その結果、新生児の脳が成長して大きくなっていくパターンは、ヒトとマカクが共通の祖先から枝分れした約2500万年前以降に生じたヒトの脳の変化と「極めてよく似ている」ことがわかった。
高度な認知や行動をつかさどるヒトの脳の領域が遅れて発達するのは、その領域が生後の経験によって形成されるためではないかとヒル氏の研究チームは推測する。高度な能力に関わる領域の発達を遅らせることによって、胎児の脳が大きくなりすぎて母親の骨盤を通れなくなるのを防いでいるのかもしれない。「自分の母親を視認する能力など、誕生直後の生存環境に適した能力をつかさどる領域の成長に多くの資源を振り向けるほうが進化の面で有利だ」とヒル氏は説明する。
研究チームは、今回の発見によって未熟児の成長が阻害される原因を部分的にでも解明できる可能性があると期待する。「早産で生まれた新生児の30~50%が何らかの永続的な神経発達障害を抱えていることが知られているが、その原因は明らかになっていない場合が多い」。
この研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版で2010年7月12日に公開された。
Photograph by Lynn Johnson, National Geographic