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土星最大の衛星タイタンは、独特の霧に覆われ、液体メタンの湖があることで知られている。しかし、タイタンの内部がそれ以上に奇妙であることが明らかになった。壊れやすい氷の地殻の下には融けかかった氷の層があり、その下には地底の海が岩と氷の固い中心核を包んでいるという。
今回明らかになったタイタンの内部の様子は、タイタンの重力場の測定結果に基づくものだ。この測定は、NASAと欧州宇宙機関(ESA)の土星探査機カッシーニが1秒間に移動する距離を5000分の1ミリ単位で求めて飛行速度を計測するという極めて精密なものである。
研究の責任者であるローマ・ラ・サピエンツァ大学のルチアーノ・イエス氏は、「タイタンの重力の波によって、探査機が引き寄せられる力が微妙に変化し、速度に影響を与える。この速度の変化を調べれば重力を算出できる」と説明する。
カッシーニにかかるタイタンの引力が微妙に変化することから、タイタンの内部には明確に分かれた岩の層がなく、物質がどろどろの状態であることがわかった。
これまでタイタンの内部は、木星の衛星ガニメデと似ていると考えられていた。どちらも直径が大きく、密度も同程度で、ほぼ同じ物質でできているとされていた。
ガニメデの薄い氷の地殻の直下には地殻より温度の高い氷でできた上部マントルの明確な層があり、その下にケイ酸塩のマントルがあり、液体の鉄の中心核がある。しかし新たにカッシーニが得た重力データから、タイタンとガニメデの進化の過程は大きく異なることがわかった。
「まったく驚いた。タイタンは、中心核、マントル、地殻と明確な層に分かれるほど高温にならなかったということだ」と、ベルリンにあるドイツ航空宇宙センターのウルリッヒ・ケーラー氏は話す。同氏はこの研究に参加していない。
一方、イエス氏の研究チームは、タイタンの氷と岩は高温でも低温でもないどろどろの状態で混ざり合ったままだったと考えている。この氷と岩の混合物は100万年ほどかけてゆっくりと中心部に落ち着いていった。「熱が逃げ、タイタンが冷えて現在の状態になるのに非常に長い時間がかかった」とイエス氏は言う。
タイタンの地下には液体の海があり、そこからメタンの泡が氷の地殻を通って地表に湧き出しているため、タイタンは常に厚い霧に覆われているという説があるが、研究チームの計算結果はこれを裏付けるものとなる。
薄く硬い地殻の下に比較的高温で多孔質の氷の層があるとするこの新説は、タイタンに大きな山がない理由も説明できるかもしれない。「タイタンには大きな山は存在できない。氷の中に沈んでしまうだけだろう」とイエス氏は推測する。
この研究は2010年3月12日発行の「Science」誌に掲載されている。
Image courtesy NASA/JPL









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