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旅客機が雷雨に近づくと、有害な高レベル放射線である“地球ガンマ線(TGF)”を被曝するリスクがあるとの研究結果が発表された。
さまざまな電磁波の中でも最高のエネルギーを有するガンマ線は、宇宙空間では超新星などの激しい爆発現象や、中性子星などの並外れた質量を持つ天体が発生源となる。
十数年前には地球上でも雷雨が放電起源になると確認され、雷光と同時に発生すると考えられている。ガンマ線が生じるような雷雨は通常、上空15キロ程度に発生するが、旅客機の飛行高度にほぼ等しい。
地球ガンマ線の放射線量は、一度の被曝で胸部X線約400回分に匹敵することが今回の研究で明らかになった。航空機を頻繁に利用する人にとってはかなり危険なレベルだ。理論上、ガンマ線はその電離作用によって人体のDNA構造を改変し、癌(がん)を誘発する危険性がある。
「しかし地球ガンマ線には不明な点が多い。例えば、旅客機が雷雨範囲内のガンマ線発生源に近づく可能性の程度も定かではない」と、フロリダ工科大学の宇宙科学者で今回の研究の共著者であるジョセフ・ドワイヤー氏は話す。「実際に被曝する可能性はかなり低いと思う。自分の子どもたちを航空機に乗せてもかまわないと思っている」。
カリフォルニア州にあるスタンフォード大学のTGF専門家ブラント・カールソン氏は今回の研究には参加していないが、第三者の立場で次のようにコメントする。「実際のところ、車を運転する方がリスクは高い。飛行の際に想定されるその他多くの要因に比べれば、危険性は極めて低い。そもそも空港へたどり着くまでが一番危ない」。
地球ガンマ線が発見されたのは1990年代、それも偶然のことだった。宇宙のガンマ線源調査を目的とした天文衛星が、地球からの放射を予期せず検出し始めたのである。
宇宙のガンマ線バースト現象は数秒間は持続するが、地球ガンマ線の閃光は約1~2ミリ秒(1000分の1~1000分の2秒)しか続かない。前出のドワイヤー氏は次のように解説する。「時間の長短から、宇宙由来ではなく地球ガンマ線とすぐにわかる。例えるなら、宇宙のガンマ線バーストは照明の光である。誰かがスイッチを入れ、少し経ってからまたオフにするイメージだ。一方、地球ガンマ線は、瞬間的に極めて明るい光を放つストロボのようなものだ」。
旅客機の乗客が地球ガンマ線を被曝するリスクはどの程度なのだろうか。雷雨範囲内の発生源の正確な位置や範囲が把握できていない現状では、はっきりしたことは言えない。
「発生源の範囲が広い場合は、ガンマ線が拡散して被曝量はそれほど多くならない。しかし、狭い場合は放射線量が集中して被曝量も増えることになる」とドワイヤー氏は説明する。
また、地球ガンマ線が雷雲の上部付近から上方へ放射される場合は、雲の下を通過する旅客機の乗客に被害は出ないはずだ。
ただし、今後さらに研究が進んで地球ガンマ線の脅威が確認されたとしても、旅客機を被曝から防ぐ手立てはほとんどない。「ガンマ線は透過能力が高く、遮断には分厚い鉛で機体を覆う必要があるが、重量の問題から実現は不可能だ」とドワイヤー氏は言う。
しかし一方で、地球ガンマ線は雷雨の最も激しい領域で生成されると考えられているが、それは以前から航空機パイロットが回避対象としている。「雷雨の危険性は以前からわかっていた。避ける理由が1つ増えただけだ」と、ドワイヤー氏は付け加えた。
Photograph by Raymond Gehman, National Geographic Stock









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