宇宙の誕生日を祝うなら、ケーキのろうそくを少し増やす必要があるかもしれない。史上最高レベルの精度を持つ測定結果から、宇宙の年齢は従来の説よりも2000万年長いことがわかったという。
NASAのウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(WMAP)の最新データから判明した。WMAPは2001年に打ち上げられた衛星で、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)のマッピングを行っている。“創造の残光(afterglow of creation)”と言われるCMBは、宇宙を創成したビッグバンから40万年後、物質の冷却が始まったときに放たれた放射線だと考えられている。
CMBは天球上の全方向からほぼ等方的に観測されるかすかな放射線で、何十億光年も離れた地点でも確認されている。WMAPはこのCMBをマッピングして、宇宙初期の地図を作成しているのである。
WMAPによって積み重ねられてきた高精度の測定結果から、この原始の光の温度にはわずかな“ゆらぎ”があることがわかっている。温度の高い領域は“ホットスポット”、低い領域は“コールドスポット”と呼ばれ、これらの領域が最終的に銀河の源になったという。
スポットの大きさなどのWMAPデータと、無数にある宇宙の数学的モデルを照合すれば、実際の宇宙に最適なモデルを特定できる。共同研究者でアメリカ、メリーランド州ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス大学の天体物理学者チャールズ・ベネット氏は、「指紋に例えるとわかりやすいだろう」と話す。
「宇宙の正確な年齢や暗黒物質の量など、未解明の項目にどんな値を入力するかによって、それぞれ様相の異なる宇宙のコンピューター・シミュレーションが大量にでき上がる。これが宇宙モデルの“顔写真リスト”になる」。警察は事件の目撃者に犯人を識別させるときに顔写真のリストを見せるが、これはその天体物理学版と言えるものだ。「WMAPによる宇宙の地図も指紋に相当する。ひたすら照合作業を続けると、一致するモデルが見つかる。それが宇宙の姿だというわけだ」。
ベネット氏のチームでは7年間のWMAPデータを分析した結果、宇宙の年齢は137億5000万年(プラスマイナス1億1000万年)という結論に達した。同じ手法でデータ量が少なかった以前の計算では137億3000万年(プラスマイナス1億2000万年)と推定されていた。
宇宙のスケールからすれば2000万年は大した違いではないかもしれない。だが、より正確な新しい年齢が定義できれば、暗黒物質や暗黒エネルギーといった宇宙の大きな謎の解明にとって有益な手掛かりとなるだろう。
ベネット氏は次のように話している。「マイクロ波を測定して宇宙モデルと照合し、宇宙の姿を特定するだけで終わりではない。さらに注意深く測定を続けて、そのモデルに破綻はないのか、何か他に必要な要素はないかを見極めることが重要だ。宇宙の正確な年齢などの数値を特定することで、暗黒エネルギーのような他の未知の要素を解明しようとしているところだ。数値の精度が高まるほど、暗黒エネルギーの解明が進む」。
今回の発見は、雑誌などへの正式掲載前の科学論文を公開しているWebサイト「arXiv.org」で1月に発表されたWMAPに関する論文集に掲載されている。
Diagram courtesy WMAP Science Team, NASA









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