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地上の望遠鏡がとらえた画像から最近見つかった、彗星に似た興味深い天体は、小惑星同士が高速で衝突してできた副産物である可能性があるとの報告がなされた。もし立証されれば、小惑星の衝突直後の状況が初めて観測されたことになる。
画像の中のぼんやりとした輪郭の謎の天体P/2010 A2 (LINEAR) は、全長が21万~30万5000キロある。その尾は、太陽系の主小惑星帯の一部を横切るように伸びている。主小惑星帯は地球から約4億200万キロの火星と木星の間にあり、数十万個もの小惑星が軌道を周回している。
ほとんどの彗星は、太陽系の外縁に近い低温の空間まで伸びる長い楕円軌道で太陽を公転していると考えられており、その公転周期のほとんどを太陽から離れた場所で過ごしている。彗星が太陽に近づくと、彗星の揮発性の高い氷が熱で気化し、その気体がさらに太陽放射に押し出されて尾を作る。
しかし、今回問題となっている天体は太陽系の外縁よりも温度の高い小惑星帯に突然現れ、しかもその一帯で生まれた可能性があることが大きな謎となっている。アリゾナ州ツーソン近郊のキットピーク国立天文台でこの天体を観測している研究チームの1つに所属するアリゾナ大学の惑星科学者ジム・スコッティ氏は、「この天体が何なのか今も究明中だ」と言う。
この天体の特異さから、その明るい“尾”は小さな小惑星が大きな小惑星に衝突した直後の破片の集まりではないかとする説も提出されており、スコッティ氏はこれを支持する。
この天体の先端付近に現在も見える直径200メートルの岩石が、衝突した小惑星のうちの1つである可能性が高い。衝突した小さい方の小惑星は、おそらく直径が数メートルしかなかっただろう。この小惑星帯ではこのサイズの小惑星が大部分を占めるからである。スコッティ氏によれば、もし衝突が起きたとしても正面衝突ではなかったはずだという。それでも衝突速度は秒速1~10キロと考えられ、地球から見えるほどの破片を残すには十分なスピードだ。
実際に小惑星衝突が観測された例はまだないが、衝突が頻繁に起きていることを示す証拠には事欠かない。例えば、確認されている小惑星のすべてに衝突の跡である衝突クレーターが残っている。また、同じ“両親”から生まれたと考えられる小惑星の集団もある。「小惑星帯にはこのような衝突の証拠があるため、いつか実際の衝突を目撃したとしても驚くにはあたらない」とスコッティ氏は期待する。
しかし問題は、同氏が認めるように、「小惑星の衝突が実際にはどのようなものなのか、詳細に分かっているとは言えない」ことだ。「ある程度のイメージは持っているが、破片の大きさや速度、破片がどこに向かうか、どのくらいの期間観測できる可能性があるかといった問題について、本格的にモデル化して研究した人がいるかは定かではない」。
現状では、P/2010 A2 (LINEAR) が衝突後の破片のようにゆっくりと拡散していくのか、それとも彗星のような振舞いを続けるのかを見守るしかないが、後者であれば新たな疑問が突き付けられる。
小惑星帯の軌道には、彗星に似た天体はごくわずかしか確認されていない。しかしP/2010 A2 (LINEAR) が本当に彗星ならば、太陽系が生まれてから現在までの時間に匹敵する約45億年もの間、これほどまでに太陽に近い距離で氷を保ち続け、しかも未確認の何らかの出来事をきっかけに今になって気体を発し始めたのはなぜなのか?
「太陽に長期間照らされ、物体が乾燥して固まったのだ」とスコッティ氏は答える。「ある日突然“尾”を作り始める可能性があるような揮発性の物質が、そのような長期間に渡って天体に蓄積されたままでいられたとは想像しにくい。ただ、もっと不思議なことだっていくらでも起きているからね」。
Photograph courtesy Robert McMillan and Jim Scotti, University of Arizona









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