October 29, 2009
ネズミの心拍数を半分に下げて仮死状態にした後、また生き返らせた研究を紹介しよう。ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』はチーズを追い求めるネズミが主人公だが、さて今回は変化にすばやく適応できるだろうか。
マサチューセッツ総合病院の研究者チームが2008年に、実験用マウスの酸素吸入量を制限し硫化水素を少量投与するという実験を行った。腐った卵のような臭気を放つ硫化水素は、約2億5000万年前に起こった生物の大量絶滅の原因とみられている有毒ガスである(写真のマウスは実験とは無関係)。
するとマウスの代謝機能はほぼ停止したが、内臓は酸素不足によるダメージを受けなかったことがわかった。細胞の酸素消費量を低下させ、仮死状態を誘導する硫化水素の作用だと考えられる。この実験結果がそのままヒトに応用できるかどうかはわからないが、「外傷を受けた後など、酸素供給が制限される場合に臓器機能を維持するのに役立つかもしれない」と研究者らは話している。
Photograph by Brooke Whatnall, National Geographic Stock