June 11, 2009
アメリカ大陸最古のアーティストは、現在のフロリダの地にいた氷河時代のハンターかもしれない。彫刻の施された骨を人類学者が調べたところ、1万3000年前に彫られた線描画であることがわかった。この骨にはマンモスが歩く姿が彫られており(写真上半分の拡大部分)、フロリダ半島中部の大西洋側にあるベロ・ビーチ付近で発見された。
「高級リゾート地の現状から想像するのは難しいが、氷河時代のフロリダは巨大動物と狩猟民族が行き交う土地だった」と、フロリダ大学名誉教授バーバラ・パーディー氏は語る。骨が持ち込まれたとき、「実のところこの彫刻の信憑性を疑っていた」という同氏は、大学での法医学者による調査が繰り返し行われるまではこれが本物であると認めなかった。
同氏によればこの一連の科学調査により、骨の線描は最近彫り込まれたのではなく、動物が死んでからすぐに作られたものだということが判明した。
さらに、長さ38センチの骨(写真下)は、マンモス、マストドン、大型ナマケモノのいずれかの骨の一部と推定される。これら3種の大型動物は、氷河時代末期の1万~1万2000年前にすべて絶滅している。
発見者である化石ハンターのジェームズ・ケネディ氏が、骨に積もったほこりの下に彫刻が施されていることに気付いたのはごく最近のことだ。氷河時代のアート作品は、それまで何年もの間、彼の台所のシンク下に放置されていた。
「こんな大騒ぎになるとは想像もしなかった。南北アメリカ大陸ではこれに似たものは見つかったことがないと聞いたとき、ちょっと待てよ、もしかしたら特別なものかもしれないと思ったんだ」と、同氏は当時を振り返る。
前述の人類学者パーディー氏は、「これはアメリカ大陸最初の芸術の芽生えだ。この発見をきっかけに、こういった古い骨を精密に調査していけば、将来さらなる発見につながるだろう」と述べた。
氷河時代のフロリダ先住民族について研究しているマイアミ大学の水中考古学者ジョン・ジフォード氏は、「実際に見たわけではないが、本物かどうかは非常に疑わしい。この発見については今後、発表される(複数の専門家の評論に基づいた)学会機関誌の記事を読みたい」と電子メールでコメントを寄せた。
しかし、今回のようなアート性のある遺物が発見される可能性は「確かに考えられる」とも付け加えた。同氏の研究は、ナショナル ジオグラフィック協会の研究・探検委員会から資金援助を受けている。
この骨の所有者であるケネディ氏は、「売って金にするか、ゲインズビルのフロリダ自然史博物館に寄贈するかはまだ決めていない」と語った。
一方、フロリダ大学のパーディー氏は、「最終的には博物館の所蔵となるのが望ましい。人類共通の財産と考えるべきだろう」と話している。
Photographs courtesy Mary Warrick, Florida Museum of Natural History