May 27, 2009
最新の研究によると、海洋生物が発光するのは健康維持を目的とする可能性が高いという。海洋生物が緑色に発光するのは緑色蛍光タンパク質(GFP)の働きによるが、これまでGFPが生物自身にとってどのような役割を持っているのかはまだ完全には判明していなかった。
緑色蛍光タンパク質(GFP)は、下村脩氏が1960年代に発見し分離精製に成功した(その功績により下村氏は2008年にノーベル化学賞を授与されている)。どうやらこのタンパク質には、病気のときやストレスを受けたときに健康状態を保つ抗酸化物質としての役割があるらしい。
GFPには、極めて反応性が高い「酸素ラジカル」という分子に作用して生物体へのダメージを抑制する働きがあるという。人体の場合にも抗酸化物質が同様のプロセスで健康維持効果を発揮するといわれている。
今回の最新研究は魚のような生物の一種、ナメクジウオを対象にしたもので、蛍光タンパク質に発光以外の目的があることが示されたのは世界初となる。
研究チームの一員でカリフォルニア州にあるスクリップス海洋研究所のディミトリ・デヘイン氏は次のように話す。「緑色蛍光タンパク質に関しては、基盤となる生化学的な知識はかなり蓄積されてきたが、その生物学的な機能についてはほとんどわかっていない。今回の研究により、発光とは関係のない機能もあることが明らかになった」。
ナメクジウオは背骨を持たない無脊椎動物であるが、脊索(せきさく)と呼ばれる軟骨の棒状組織を備えており、脊椎動物に最も近い近縁種だと考えられている。体は細く、一生のほとんどを海岸の砂地に潜って暮らす。今回の研究にあたり、研究チームはフロリダ州タンパ沖に生息するナメクジウオを収集した。
ナメクジウオの体内では部位によって異なるタンパク質が発光しており、蛍光発光の明度も異なっている。写真下は体全体で矢印部分がその頭部、頭部を拡大したのが上の写真で、ひときわ明るく輝いていることがわかるだろう。
デヘイン氏は、「動物界の歴史において発光タンパク質がどのような進化を経てきたのか、今回の発見はそれを解き明かす第一歩となるだろう」と話す。
今回の最新研究は、「BioMed Central(BMC)Evolutionary Biology」誌に掲載されている。
Photograph courtesy Scripps Institution of Oceanography, UC San Diego