May 19, 2009
ヒップホップスターの歯に光るきらきらとした装飾は、別段目新しいものでもなかったらしい。新たな調査から、ネイティブアメリカンは2500年も前に既に高度な歯科医術を有していたことが明らかになった。メキシコ南東のチアパス州で発見された頭蓋の歯には、当時の技術を駆使して派手な装飾物が埋め込まれていた(写真)。
今回の調査は、写真の標本をはじめ、メキシコ国立人類・歴史学研究所(NIAH)の数千点に及ぶ歯の所蔵品を対象に行われた。その結果、北アメリカ南部の古代人は、歯に刻み目や溝を施したり、宝石などの装飾物を埋め込むために“歯医者”に通っていたことが判明した。所蔵品の大半は詳細な発見場所が不明だが、16世紀にスペイン人が征服する前のメソアメリカと呼ばれる地域に暮らしていた人々のものである。
最近この調査結果を発表した同研究所の人類学者ホセ・コンセプシオン・ヒメネス氏は、スペインからのメールインタビューに次のように答えている。
「大半は男性だが、彼らがいつもファッションに気を使っていたのは確かだ。これは社会の階級を表すものではなく、単に装飾のためだ。事実、現在のメキシコにあるパレンケ遺跡の寺院で発見されたマヤの女王“レッドクィーン”のミイラや、当時の王族の歯にはそういった装飾がない」。
以前にもメソアメリカの遺跡から、儀式用の義歯が埋め込まれた歯科医術の例が確認されている。
この歯医者は、黒曜石などの堅い石を用いたドリルのような器具を使用し、歯に穴をあけることもできたようだ。
「痛みはハーブを原料とする一種の麻酔で和らげたと考えられる。開けた穴に固定された翡翠(ひすい)などの装飾用の石は、樹液や化学物質、骨粉を混ぜて作られた樹脂製の接着剤で固定されていた。歯の解剖学的構造についても高度な知識を持っていたようで、例えば穴は中心の歯髄に達する前で終わっている。感染症や歯の欠損、損傷を防ぐ術を知っていたのだ」とヒメネス氏は語った。
Photograph courtesy Jose C. Jimenez Lopez