May 1, 2009
中国で採取された2000種以上の貴重な菌類標本の一部が、祖国への帰還を果たそうとしている。この標本は70年近くもニューヨーク州のコーネル大学に保管されていたもので、その中には写真のトラメテス・シンナバリナという種も含まれている。4月13日、返還作業を行う中国の代表団が同大学に到着した。
その貴重な菌類標本は、同大学大学院で菌類学を学んだ中国人、S・C・テン(Shu Chun Teng)氏が採取したものであり、当時初めて採取されて種の特定に至った標本も含まれている。1920年代、卒業前の同氏はチームを率いて中国の数千種にもおよぶ菌類標本を採取した。
しかし1940年、テン氏が保管していた2000種の標本はコーネル大学への返還を迫られた。当時は第2次世界大戦の真っ直中で、中国本土は旧日本軍の侵攻にさらされており、標本が保管されていた当時の首都南京市は、戦火に破壊された上、多数の市民を含む30万人以上が犠牲となった1937年の虐殺の地でもあった。
「標本自体も非常に価値があるものだが、たどった悲劇的な運命や、標本を守るために尽くしてこられたテン氏と彼の家族のことを思うとその歴史的意義は計り知れない」と、コーネル大学長デイビッド・スコートン氏は語った。
Photograph courtesy Kent Loefller, Cornell University