HIVや鳥インフルエンザのような感染症の大流行が懸念されている。ジャガーなどの大型ネコ科動物をを保護することで危機的状況を避けようとする活動が始まった。
これは、非営利の野生動物保護団体と大学付属病院が共同で始めたプログラムで、訓練を受けた“医療者兼自然保護活動家”が現地の人々と野生生物の共存を図る新たな啓蒙活動と言える。
中南米ではジャガーは家畜を襲う害獣とされることが多く、発見と同時に殺される場合もある。また、遺伝的な健康度も危機的な状況と言える。生息地の減少傾向が進み、隔絶した個体群だけで交配が続く悪循環が主な理由だ。
大型ネコ科動物の保護団体パンテーラ(Panthera)の代表兼CEOであるアラン・ラビノウィッツ氏は、「ジャガーの行動範囲が狭まれば体力が低下して健康状態が悪化する恐れがあり、さらに近隣住民の間で病気が流行する事態になる。これはデータに基づいた確かな事実だ」と指摘する。
ジャガーのような食物連鎖の最上位にいる捕食動物が減少すると、そのエサとなる動物の個体数が増え、その動物が保有する病気の蔓延が助長されるようになる。そのような病気の一部は人獣共通の伝染病になり、動物から人へ飛び火することも考えられるのである。
「例えばHIV、西ナイルウイルス、鳥インフルエンザなどの感染症は、最近まで制圧されていたため人間への感染は減少した。しかし、危険は常に身の回りに存在しているので、状況によってはいつ増加に転じてもおかしくない」とラビノウィッツ氏は解説する。
ニューヨークに拠点のあるパンテーラは「ジャガーなどネコ科動物を保護し人間の健康維持に役立てる」というノウハウを医師たちに教育している。この活動は、大型ネコ科動物を保護する大規模な取り組みの一環として、マウントサイナイ医療センターと共同で行われているものだ。
同センターのサミュエル・ブロンフマン内科の科長ポール・クロットマン氏は、「このプログラムはまだ完全ではないが、期待は大きい」とコメントしている。
プログラムでは、パンテーラに所属する大型ネコ科動物保護の専門家が同病院で教え、医学生は人間と野生動物が共存する現場で人々の健康を管理する役割を果たすことになる。
マウントサイナイ国際衛生・新興病原体研究所(Mount Sinais Global Health and Emerging Pathogens Institute)の所長であるメアリー・クロットマン氏は、「この新プログラムの大きな目標は、人間の病気と動物の関連について学生の理解を深めることだ。このコンセプトを医学教育に広く浸透させれば、医療者なら誰でもこの相互作用を理解できるようになる」と話す。
パンテーラのラビノウィッツ氏によると、このプログラムのユニークなトレーニングを受けた医療者兼自然保護活動家は、ジャガーと共存するように地元住民を誘導していくという。
「現地コミュニティで“必要なものは何か”と尋ねると、ほとんどの場合“子どもの教育”や“家族の健康”という回答が上位に入ってくる。健康面は、マウントサイナイの提携機関が支援できる」と同氏は言う。
このような活動は、いわゆる“遺伝子コリドー”を確立する取り組みの後押しになるはずだ。遺伝子コリドーとは、人間の生活区域を横切って細切れになっている野生動物保護区をつなぐ通路のことである。
パンテーラの“ジャ
「遺伝子コリドーは、人工的な景観として映るかもしれない。しかしもし1頭のジャガーかトラがその通路を通って隣の個体群にたどり着けたら、それだけでも十分に種全体の遺伝的多様性を維持することができる」と、ラビノウィッツ氏はこのプロジェクトへの期待を示した。
Photograph courtesy Panthera Corporation, panthera.org

印刷用ページ
友人に教える





















