火星に液体の水の存在を示唆する証拠が初めて見つかった。最近発表された論文によれば、NASAの火
昨年5月、火星の北極付近に着陸したフェニックスは、異常診断用に自らの機体各部を撮影した。いくつかの画像には脚部に異物が付着している様子が確認できる。
研究チームのリーダーであり、フェニックス計画の共同研究者でもあるミシガン大学のニルトン・レノ氏はナショナル ジオグラフィックニュースの取材に対し、「この物質は塩分を含んだ泥で、フェニックスが着陸したときに飛び散ったものだ」とコメントした。
レノ氏によれば、この泥の中に含まれる塩分に大気中の水蒸気が吸収され、それがやがて水滴になったのだという。寒冷な北極付近にもかかわらず水が液体で存在できる理由については、「塩分濃度が高いため、水は不凍液や融雪剤のように気温が氷点下になっても凍りにくい」と述べた。
低温下でも液体の水が存在することから、火星は生物が生息できる環境にあるのではないかと指摘する研究者もいる。ただし、レノ氏も認めているように、異常診断用の画像で細部を検証するにはもっと高い解像度が必要だ。さらに、フェニックスに搭載されている観測機器は、表面近くの液体の水を検出していない。
だが研究チームの分析によると、液体の水と判断する十分な理由があるという。「この物質は時間とともに冷却が進んでいる。いまでは至るところで凍結しており、液滴はほとんどない。この現象は、周囲の気温が低下するにつれて凍結し水分が大気に奪われるという、水滴の性質に合致する」。
さらに画像からは、1センチほどの大きさになった液滴がフェニックスの脚部を伝って垂れ落ちる様子がうかがえる。レノ氏は、氷が液体の水に比べて光の反射率が高いことを指摘した上で、「この液滴は垂れ落ちる直前につやが失われている。これは、氷が溶けるときの様子とまったく同じだ」と話す。
ハーバード大学で地球化学の研究を行っているニコラス・トスカ氏は、「一瞬とはいえ火星の地表面に液体の水が存在する可能性は十分に考えられる」と語る。
フェニックスが着地していた辺りでは大気温がマイナス70度前後まで下がるが、塩分濃度の高い水であれば低温下でも液体状態で存在し得ると考えられる。だが火星は1日で大気温が大きく変動するため、塩分濃度の高い水であっても凍結と溶解を繰り返す可能性が高い。液体の状態で存在する時間もあまり長くはないだろうとトスカ氏は指摘する。
今回発表された論文についても「火星に液体の水が存在することには納得できる。しかし、生命の可能性を話すにはまだ早すぎる」と話す。同氏によれば、火星の地下深くに液体の水が存在したとしても、生物が生息するのにあまり適したものではないと考えられる。「かつて火星で生命が生まれ、いまもどこかに潜んでいると考えることはできる。だがそうだとしても、このような塩分濃度が高い低温の水の中にいる可能性は低い」。
Images courtesy Image NASA/JPL-Caltech//University of Arizona/Max Planck Institute

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