4月16日、11匹のオサガメがカナダ大西洋岸の冷たい海に一斉に飛び込んだ。カリブ海まで6000キロ以上を泳ぎ切る過酷な旅の始まりである。
このグレート・タートル・レースと呼ばれる競技は、既に3月に終了した実際の回遊を短縮版で再現するインターネット上でのバーチャル・レースだ。
「16日のスタートは、スポーツ中継のリプレイみたいなもの」と、ナショナル ジオグラフィック協会とレースを共催しているコンサベーション・インターナショナル(CI)のウミガメ研究者ブライアン・ウォレス氏は説明する。「オサガメの回遊は6カ月を要するが、この“レース”は2週間の短縮版で行われる」。
各オサガメは実際の回遊時に衛星発信機を装着しており、この情報をもとにしてバーチャル・レースが行われている。カメの位置はナショナル ジオグラフィックのオンライン地図に表示されているため、観戦者はレースの進み具合を確認することができる(地図を見る、英語)。「繁殖地として知られるカリブ海に最初に到達したオサガメが優勝だ」と、ウォレス氏は解説する。
いまのところ優勝者の名前は極秘扱いである。プロジェクトの科学者チームは、4月29日の結果発表の後に、実際のオサガメの近況を報告する予定だ。
グレート・タートル・レースは、オサガメの行動や危機的状況に対する啓蒙活動を目的に2007年に始められた。「釣り、汚染、沿岸開発、卵の採集といった人間の活動がすべてのウミガメの生存を脅かしている」と、ウォレス氏は警告する。
オサガメは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に分類されている貴重な動物だ。「発信機のデータを利用してウミガメの生態をさらに詳しく解明すれば、適切な保護活動の提案につながる」と、イベントの主催者は説明する。
このレースには、その目的に賛同したさまざまな有名人がスポンサーとして参加している。例えばロックバンドのパールジャムやR.E.Mなどは、レース中のカメの後援活動を行っている。また、エントリーしたカメにはアマンダ・ビアード氏やエリック・シャントゥー氏といったオリンピック・スイマーもコーチとして付いており、公式のレース実況はアメリカ3大ネットワークの1つNBCのアナウンサーであるローディー・ゲインズ氏が担当している。
前出のウォレス氏は、大恐慌時代に活躍した競走馬の名前をもらった、スポンサーのない“シービスケット”に注目している。回遊パターンがよく知られている大型の“ワワベアー”もお気に入りだ。「本命は何度も回遊を経験しているワワベアーだ」と、同氏は語った。
Photograph copyright Roderic Mast/CI Trinidad









印刷用ページ
友人に教える















