太陽系の初期に形成された古代の物質は通常、地球に落下した隕石か、地球から数百万キロ先を通り過ぎる氷の彗星からしか発見されない。しかし今回、研究者たちが地球上空で化学実験を実施し、“ハエ取り紙”のような採取器を用いて大気中に漂っている彗星のちりを採取したところ、近隣の宇宙で最古と推測される物質が発見された。
採取された太古のちり粒子の一部は45億年以上前に形成された物質であり、恒星の爆発が太陽誕生の引き金になったという理論を裏付ける証拠となるかもしれない。
このちり粒子は長い時間を経ているにもかかわらず初期の状態が保たれているが、それは彗星の形成時にその氷の中に閉じ込められたからではないかと研究チームは考えている。
イギリス、マンチェスター大学の天体物理学者であり、今回の研究のリーダーを務めたヘンナー・ブーゼマン氏は、「彗星は冷蔵庫の役割を果たしていた。この冷蔵庫に貯蔵されたため、原始の物質は変質しなかったのだ」と解説する。
ブーゼマン氏の研究チームがちり粒子を採取したのは、グリグ・シェレルプ彗星(26P/Grigg-Skjellerup)から伸びるダストテイル(ちりの尾)の中を地球が通過した2003年4月のことである。
研究チームはNASAに依頼し、彗星接近時の数時間にわたり、約20キロの高度で飛行機を飛ばした。飛行機に搭載されたシリコンオイル素材の採取器によって、上層大気に存在するちり粒子が採取された。
研究チームはNASAの彗星探査機ディープインパクトやスターダストで採取されたちりのサンプルと今回採取したちりを比較し、地球の大気で採取されたちりがグリグ・シェレルプ彗星起源であることを突き止めた。
また、採取した粒子のうち2つには、太陽の育星場(stellar nursery)となった巨大なガス雲と関わりがあることを示す、特有の科学的特徴が発見された。さらに、そのうちの1つに含まれていた物質は、超新星爆発後の残留ガスが冷却していく過程で形成されたものと推測されている。
「近郊の超新星爆発で生じた衝撃波が引き金となって太陽は誕生したと科学者たちは推測しているが、採取した彗星の物質の一部はそのときの爆発に起源があるのかもしれない」と、ブーゼマン氏は説明する。
同氏は先週、イギリスのハートフォードシャー大学で開催された学会(European Week of Astronomy and Space Science)で今回の研究成果を発表した。
Image courtesy H. Busemann

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