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海洋を漂流するプラスチックゴミは、決して消滅することなく環境を汚染する元凶だと世間では言われているが、最新の研究によると、一部のプラスチックは海中でかなり早く分解するという。ただし、これは悪い知らせだ。
プラスチックの分解により、ビスフェノールA(BPA)など有毒と考えられている化学物質が海洋に浸出することが今回初めて示された。海洋生物や人類の生命を脅かす可能性がある。
従来の研究では、プラスチックが海洋で分解するのは水温がかなり高い場合で、そのプロセスも数百年はかかると考えられてきた。
しかし、今回の研究では想定よりも低い温度で、しかも海中に入ってから1年以内にプラスチックが分解することが発見された。研究チームのリーダーで、千葉県にある日
「日本を拠点に、アメ
今回の研究は、8月20日にアメリカのワシントンD.C.で開催中のアメ
発見された毒性化合物は、海洋中で自然に生まれるものではない。研究チームはプラスチックを“犯人”と考え、実験に取り組んだ。そして、海洋中で起きるポリスチレンの分解プロセスのシミュレーションを行った結果、ポリスチレンが摂氏30度で分解することがわかったのである。
また、分解実験後の水溶液からは、海水サンプルで検出されたものと同じ化合物が検出された。例えば、ポリスチレンの副生成物であるスチレントリマーのほか、再利用可能な飲料水ボトルなどの硬質プラスチックやアルミ缶のコーティング剤で使用される化学物質のビスフェノールAが含有されていた。
ビスフェノールAは動物の生殖器系の働きを阻害することが判明しており、スチレントリマーの誘導体であるスチレンモノマーは発がん性物質として知られている。
このような汚染物質は、海流がぶつかる渦潮など、大量のプラスチックゴミが散乱する海域で濃縮していく傾向が強い。
アメリカの環境NGO、アルガリタ海洋研究所に所属する海洋学と化学の専門家チャールズ・ムーア氏が2008年に「Environmental Research」誌に発表した研究によると、すべての海鳥の約44%がプラスチックを食するという。おそらく誤食だが、時には致命的な事態を招くことがある。また、267種の海洋生物がプラスチックゴミの影響を受けているという。例えば、ウミガメなどはビニール袋を飲み込んでしまうことがある。海の中ではクラゲと区別することが難しいためだ。
そして今回、プラスチック由来の毒性化学物質という目に見えない脅威にも直面しているらしいことがわかった。「例えば、発泡スチロールが分解すると微細なポリスチレン成分が海の底に沈んでいく。水より重いからだ。したがって、こういった汚染物質は海面付近だけでなく、海中全体に広がっていると考えられる」とムーア氏は話す。
英国南極観測局(BAS)の海洋生態学者デイビッド・バーンズ氏は、ムーア氏の見解に同意しながらも次の点に注意を促す。「今回研究室で得られた結果は、海洋全体に一様に当てはまるものとは考えられない。ほとんどの海域において、海水温は研究で示された摂氏30度よりもはるかに低い。したがって、今回の研究成果が意味を持つのは熱帯や亜熱帯の海岸地域に限定されるだろう」。
ムーア氏は、「プラスチックは海洋生物に対して二重の苦難をもたらす」と話す。プラスチックは、分解するときに毒性化学物質を解放するだけでなく、海中に漂うほかの化学物質を蓄積する作用を持っている。スポンジのようなもので、毒性は海水の100万倍に達する。動物たちはそれをすべて体内に取り込むことになる。
同氏は、プラスチック由来の化学物質が野生生物に与え得るダメージは非常に深刻なものだと考えている。「こういった化学物質は人間にとっても癌(がん)の原因となり、もっと単純な生命体の場合はさらに影響を受けやすいと考えられる」。
また汚染物質は、汚染された動物を捕食することにより次第に濃縮されていく。食物連鎖の頂点に立つ人類にとっては恐ろしいニュースだ。
同氏は次のように警鐘を鳴らす。「プラスチックゴミのほとんどは、個々の大きさは5ミリ以下にすぎないが、広大な海域に拡散し、海中の奥深くまで沈み込んでいく。海域によって程度の差はあるかもしれないが、プラスチックがもたらす影響自体は、海洋全体に当てはまるものだ」。
Photograph by Christopher Furing, Getty Images









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