アメリカの研究チームが、6億3500万年以上前の地球では海綿動物が繁栄を極めていたという学説を発表した。その根拠とは、中東の国オマーンで発掘された化石に含まれているステロイド成分だ。
今回分析を行ったカリフォルニア大学リバーサイド校のゴードン・ラブ氏の研究チームによると、このステロイド成分は、現在自然界に広く存在するエストロゲンやテストステロンなどのステロイドに類似した物質であり、動物が生存していたことを示す化石証拠としては、これまで知られている中でも最古のものだという。
ラブ氏らは、堆積岩の化学的な特徴から、これらの海綿動物が海底のさまざまな場所に群生していた可能性が高いとみている。当時は、3億5000万年以上にわたって陸地の大半を占めていたロディニア大陸という超大陸が分裂のさなかにあり、極度に寒冷な気候が地球全域を覆っていた。また深海には、ほとんどの動物にとって必要不可欠な酸素が存在しなかったため、海綿動物は浅い海盆で進化したと考えられている。
多様な生物が一挙に出現した“カンブリア紀爆発”の約1億年前にあたる当時の地球は非常に過酷な環境にあったが、海綿動物は天敵がいなかったため繁殖が進んだと思われる。
ラブ氏は次のように話す。「海綿動物は、より高等な動物との生存競争がなかったため、繁殖していた可能性が高い。他の時代と比較しても、当時生息していた海綿動物の数は極端に多い」。
この海綿動物の化学的な痕跡は、氷河堆積物の下にあった岩石の中から発見されたが、これらがおよそ6億3500万年前に終わった氷河期のものであることから、ラブ氏らは海綿動物の生息年代を特定することができた。
ラブ氏らはこの岩石の表面を削り取り、残った部分を溶剤で洗浄して粉末状にした後、化学的な処理を行ってさまざまな成分に分離した。「都合が良いことに、この海綿動物は非常に特徴的な化学組成を持っている」とラブ氏は述べた。チームの研究成果は「Nature」誌今週号で発表される。
一方、生物学的な視点から海綿動物の研究を行っているダートマス大学のケビン・ピーターソン氏らのグループは、海綿動物の現生種から取り出した遺伝子を手掛かりに、海綿動物はおよそ6億5000万年前から生息していたという仮説を唱えていた。
「当時おびただしい数の海綿動物が生息していたという、確固たる地球化学的な証拠が発見され非常に興奮している。この数億年の間に海綿動物からより複雑な動物が生まれ、さらにその一部が脊椎動物へと進化した可能性もある。高等動物の起源が海綿動物にあるのだと考えると、今後の研究にもいっそう力が入る」。自説の裏付けを得たピーターソン氏はこのように話している。
Photograph by Commander William Harrigan/Florida Keys National Marine Sanctuary/NOAA









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