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最新の研究によると、人間の皮膚の状態を表す新しい“地勢図”が完成し、微生物レベルで考えると脇の下は緑豊かな熱帯雨林と同様にすばらしい多様性にあふれていることが判明したという。
研究チームの一員でアメリカのメリーランド州ベセスダにある米国国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)のジュリア・セグレ氏は次のように話す。「人間の皮膚は、大半が乾ききった不毛の砂漠だ。しかし、その砂漠を歩き続けていくとオアシスにたどり着く。鼻の内側だ。また、湿度に富む皮膚のしわは一種の小川となる。こういった場所は多様性に富んだ自然の生息地といえる」。
人間の消化器系に生息する善玉菌と同じように、表皮に生息する野生のバクテリアも皮膚の健康状態を増進している。その働きを研究することで、皮膚の疾病を治療する新しい方法が見つかることが期待されている。
今回の最新研究は、「Science」誌5月29日号に掲載されている。この研究によると、人間の皮膚はこれまでの想定よりもはるかに多様なバクテリアをはぐくんでいることが判明したという。
従来は、実験室で成長させた皮膚バクテリアのサンプルから、人間の皮膚に住みつくバクテリアのほとんどがブドウ球菌という単一属だと結論付けられていた。しかし、セグレ氏のチームは微生物の遺伝子を解析し、事情が大きく異なることを発見した。
生物の分類では「界」の下に「門」という区分があり、同じ門に属する生物は互いの類似性から共通の起源を持つと考えられている。今回の研究では、人間の皮膚20カ所から少なくとも18門の異なるバクテリアが存在することが確認された。
「しかも、こういった微生物は、個々の人間ではなくそれぞれの生息箇所に合わせて適応している」と、セグレ氏は話す。つまり、ある人の脇の下に住むバクテリアは、その人の前腕部にいるバクテリアよりも、他人の脇の下にいるバクテリアとの類似性が高いということだ。
研究チームは今回の地図が完成したことで、さまざまな皮膚状態の診断方法が改善できると考えている。例えば、体の健康状態が“正常”であるときのバクテリアの地図を基準とすることで、皮膚炎などの傷や病気に侵された部位とどのような違いが現れるか比較することができる。このような分析により、各種の病気やその治療法が“善玉”と“悪玉”の皮膚バクテリアに対してどのような影響を与えるか明らかになるだろう。
皮膚がバクテリアにあふれているからといって、細菌恐怖症の人も怖がる必要はない。セグレ氏は、「微生物の多くは健康に資するバクテリアであり、人体最大の器官と呼ばれる皮膚を良好な状態に保っている」と話す。例えば、鼻の外側などもともと油分の多い部位に生息する微生物は、皮膚の脂質をエサにして天然の保湿成分を生み出す。こうして皮膚のひびや荒れが防がれるのだ。
セグレ氏は次のように正しい理解を求めている。「体に良いバクテリアを含んだヨーグルトを食べれば腸内の善玉菌が活発になることは、誰もが理解している。それなのに皮膚に関しては完全に殺菌消毒しようとする。皮膚の衛生についても単なる殺菌消毒ではなく正しい処方を考える必要がある。皮膚バクテリアの中には、健康な皮膚状態を実際に増進する“善玉”もいるのだ」。
Photograph by Sarah Leen/NGS

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