絶滅した動物がクローン技術で初めて復活した。だが、そのクローンの命は誕生からわずか数分で終わってしまったという。
1月23日発行の「Theriogenology」誌に掲載された研究論文では、2000年に絶滅したブカルドの冷凍保存された皮膚を使用し、2003年にそのクローン個体を生み出した過程が説明されている。ブカルドは別名ピレネーアイベックスとも言い、スペ
絶滅に瀕した動物種のクローン作成はそれまでにもあったが、公式に絶滅が確認されている種に応用した事例はこれが初めてのことだった。
研究チームの一員であるホセ・フォルク氏によると、同チームは今年または来年にも再度クローン作成を試みる予定だという。フォルク氏は、スペインのアラゴン州にある土壌栄養学研究技術センター(Center for Agro-Nutrition Research and Technology)に所属している。
「新しく生まれたクローン個体が死んだことについては、特に失望はしていない。クローン技術で生まれた個体の死亡は珍しいことではないからだ。作成のプロセスを効率化させるために、今後この技術の精度を高めていくつもりだ」とフォルク氏は述べている。
しかし、「クローンの作成が成功したといっても、それで“ジュラシックパーク”が実現する最初の一歩になるわけではない」と、アメリカのワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園の研究主任デイビッド・ヴィルト氏は警告する。
「マンモスや恐竜のクローン作成はまだ遠い先の話だ。たとえクローン胚を作れたとしても、大昔に絶滅したそのような動物種にはクローン胚を体内に宿す適当な代理母が存在しない」と同氏は指摘している。
狩猟の対象とされたブカルドは200年の間に個体数が激減し、最後の1頭は落下した木の枝にぶつかって2000年に死亡した。フォルク氏のチームが使用した冷凍保存の皮膚サンプルは、その最後の1頭から1999年に採取したものだ。皮膚サンプルから抽出したDNAを、本来の遺伝物質を抜き取った家畜ヤギの受精卵に注入してクローン胚を作成した。
複数のクローン胚は、スペ
生体組織の異常はクローン技術には付きものと言っていい。クローン個体のDNAはドナー(ブカルド)と同一かもしれないが、細胞間でDNAを移植することで発達時に異常が生じる可能性が避けられないのである。
今回発表された研究成果について、スミソニアンのヴィルト氏は、「注目するに値する」と評している。「絶滅してしまった動物の子孫誕生は、胸が躍るようなニュースだ。絶滅種を復活させるにはクローンを作るしかないのだから」と同氏は感想を述べる。
しかし、「まだ生き残っている野生動物の保護という観点では、もっとはるかに効率的で、論理的な手段がある」と同氏はコメントを続け、その例としては自然の生息環境の再構築、自然に近いかたちの飼育下繁殖、そして人工授精を挙げている。「クロアシイタチやジャイアントパンダは、保護策によって絶滅の危機を免れた動物種の好例だ」と同氏は言う。
ロンドン動物学会の生殖生物学者ビル・ホルト氏は、「数頭のクローン個体と、将来にわたって繁栄を繰り返す集団には相当な隔たりがある。たとえ誕生時の幼体がすべて健康でも、ドナーの遺伝子サンプルが少ないために集団の中で遺伝的な多様性が期待できず、近親交配のようになってしまう。病気や気候変動の影響を極度に受けやすくなり、それほど長くは生き残れない恐れもある」と指摘している。
Photograph by Enrique Aguirre/Getty Images

印刷用ページ
友人に教える





















