National Geographic News
コアラやカクレクマノミなど10種の生物が地球温暖化で食物や住処を失い、生息数が激減する可能性が高いとする調査報告が、2009年12月14日、コペンハーゲンで開催されている国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)で国際自然保護連合(IUCN)から発表された。
発表された10種はコアラ、カクレクマノミのほかに、ワモンアザラシ、コウテイペンギン、ホッキョクギツネ、シロイルカ、オサガメ、サケ、ミドリイシ(サンゴ)、アロエ・ディコトマ(植物)。IUCNはこの10種を選んだ理由について、最も危険に晒されている生物というわけではないが、海氷の融解から海岸の浸食にいたるまで気候変動の様々な影響を受けており、すでに研究が進んでいる“代表的”生物であるためとしている。
報告の共著者でIUCN「種の保存プログラム」のウェンディ・フォーデル氏は、コペンハーゲン滞在中に電話取材に対して次のように話している。「ホッキョクグマが気候変動の象徴としてメディアに数多く取り上げられているが、気候変動の影響を周知するのに役立つ生物はほかにもいる」。
10種の生物のほとんどは、生息地の破壊や乱獲など、別の理由ですでにIUCNが発表した絶滅危惧種のレッドリストに登録されている。この事実は、気候変動によって「大きな脅威が新たに加わることになる」と調査報告は述べている。
例えば、絶滅の危機に瀕しているオサガメは、海を泳いでいると漁網に絡まったりプラスチック片を喉に詰まらせたりする危険と常に戦っている。加えて、地球温暖化が進めば、海面温度の上昇の影響で発生する暴風雨で大きく浸食された海岸で産卵せざるをえなくなる。さらに、孵化する子ガメの性別は卵の発育中の平均温度で決まるため、砂の温度が上がるとメスが生まれる確率が異常に高くなる。
IUCNのフォーデル氏によると、今回のリストの中で最も脆弱な生物はおそらくミドリイシというサンゴの仲間で、すでに白化現象によって大打撃を受けているという。サンゴの白化は、海水温の上昇によってサ
一方で、大気中の二酸化炭素濃度の上昇によってオーストラリアのユーカリの葉にも異変が起きている。栄養となるタンパク質が減り、不快な味のするタンニンが増えているのだ。そのため、ユーカリの葉しか食べないコアラは餓死を避けるために、渋味の強い葉をもっと多く食べなければならなくなる。「こんなことは、まったく予期していなかった」とフォーデル氏は嘆く。
そして、ホッキョクギツネ、コウテイペンギン、シロイルカ、ワモンアザラシなど、今回のリストに挙げられた生物の一部は、ホッキョクグマと同様に極地の雪と氷が無ければ生存できない。
2040年までに夏の北極の氷は完全に消滅すると予測されているが、そのときこれらの生物がどうなるのかは誰にもわからない
報告ではこのほかに、干ばつの脅威に直面するアフリカのアロエ・ディコトマ(高さ10メートルにもなるアロエ属の多年草)と、温暖化によって雪解けの時期が早くなり故郷の川の流量が変化してしまう可能性のあるサケが、危機に晒されている生物として挙げられている。
蚊やクラゲなど、地球温暖化で逆に繁栄しつつある生物もいるという意見もあるが、こうした生物は“雑草のような侵入種”であることが多く、爆発的に増加すれば深刻な問題が生じる可能性があるとフォーデル氏は指摘する。
例えば、アフリカの蚊はすでに気候変動によって生息域を広げており、マラリアの感染拡大を引き起こしている。気候変動に乗じて勢力を拡大するこれらの生物は生態系を狂わせ、絶滅の危機に瀕する生物をさらに圧迫しかねない。
カリフォルニア州に本部を置く非営利団体、生物多様性センターのキャシー・シーゲル氏は、「気候変動の恩恵を受ける生物がいるのは確かだが、生物多様性にとっては悪影響のほうが圧倒的に大きいだろう」と話す。
フォーデル氏は、この10種の生物はまだ絶滅の瀬戸際にいるわけではないと強調する。例えば、ワモンアザラシは現在でも北極で最もよく見られるアザラシである。「これらの生物は気候変動に適応できる。問題は、適応するための時間を十分に確保できるほど気候変動がゆっくりと進むかどうかだ」。
生物多様性センターのシーゲル氏は、その答えは12月18日に閉幕する気候変動会議の結果にかかっていると語る。合意案を巡っては現在も交渉が継続中で、12月14日の時点で提案されている合意案の内容が達成された場合でも、2100年までに大気中の二酸化炭素濃度が650ppmまで上昇し、これにより地球の気温が最大で摂氏3度上がると予測されている。「これは、10種の生物だけでなくのほぼ全部、ほかの何千何万種類の生物には絶滅を意味するに等しい」。
Photograph by Your Shot user Debi Hanshaw









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