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モンゴルではいま、鉱物の採掘が活発化している。だがその影響で国内の河川は荒廃し、遊牧民たちは土地や伝統的な生活様式を失いつつあると現地の活動家らは警告を発している。
現在いくつもの鉱物会社が、金を始めとするモンゴルの豊富な鉱物資源の採掘に躍起になっている。だが環境保護団体などによると、河川付近での鉱物採掘を禁止した法律など政府が定めるさまざまな規制がほとんど守られていないという。
重機などを使った大掛かりな採掘が、川の周囲に広がるのどかな景観を破壊している場所もある。オンギ川もその1つだ。この川の流域にはおよそ6万人の遊牧民と100万頭の家畜が暮らしている。一部の場所では川の水が干上がってしまい、家畜がのどを潤すこともままならない状態だと遊牧民たちは嘆く。また、地下水は水銀などに汚染されている恐れがあるため、とても使う気にはなれないという。
ナショナル ジオグラフィック協会のエマージング探検家で、自身もモンゴルの遊牧民であるツェツェジー・ムンクバヤール氏は、「われわれの伝統的な生活様式が脅かされている」と話す。ムンクバヤール氏はかつて、肥沃なオンギ川の一帯でヤクという家畜化したウシを放牧し、厳しい冬には凍りついたオンギ川の上でスケートを楽しむというのどかな遊牧生活を送っていた。だが、自らの暮らしと伝統を守るため、あるときオンギ川保護運動に立ち上がった。現在ではおよそ1600人が参加するこの運動をきっかけに、いくつもの団体を巻き込んだ大規模な民衆運動の流れが生まれた。
彼らは、鉱物の採掘現場で抗議集会を行う一方、政府関係者に対して採鉱を規制する法律の施行を強く働きかけてきた。これらの活動は、いくつもの成果を上げているとムンクバヤール氏は言う。数年前には、ムンクバヤール氏らの強い働きかけによって、オンギ川の一帯で違法操業していた数多くの鉱物会社が一時操業停止に追い込まれた。
だが、2008年6月の議会選挙以降、新政府が鉱物資源の採掘を推進するという方針を打ち出したため、闘いは激しさを増すことになりそうだ。
モンゴルには、金や銅、ウランの巨大な未採掘鉱床がいくつも残されている。モンゴル政府の関係者によれば、こうした鉱物資源は毎年6億6000万ドルもの収益をもたらすと試算されており、輸出歳入の3分の2は鉱工業が占めるという。旧ソ連の崩壊によって1990年代初頭以降、財政的な支援を失ったモンゴルはいま、自力での財政の建て直しを図っている。
選挙で新たに選ばれたモンゴル議会の有力議員の中には、ムンクバヤール氏らが支援してきた人物も何人かいる。しかし、鉱物採掘を推進しようという方針を政府が打ち出している以上、ムンクバヤール氏らは苦しい闘いを強いられると見られる。
だが希望はある。ムンクバヤール氏の故郷サイハン・オボの町から遠く離れたオンギ川の上流では、一度は干上がった水が再び流れ出したのだ。「子どもたちがオンギ川でスケートを楽しめる日が再び訪れることを私は願っている」。ムンクバヤール氏はそう語った。
Photograph by Cheryl Zook/NGS









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