津波:恐怖の自然現象
2004年12月26日にインド洋沿岸諸国を襲った津波は、近年発生した津波の中でも最も大きな被害をもたらした。その威力は広島型原爆の2万3000発分に相当し、たった1日で約15万人の命を奪った。
津波は、大きいものになると高さが30.5メートル以上にもなる、連続して発生する波のことである。その波が陸に迫る様子はまるで壁のようであり、岸に到達すると、海岸地域の建物などが広範囲にわたって破壊される。
この破壊的な威力を持つ波は、地殻構造プレートの境界部で起こる大規模な海中地震によって引き起こされる。プレートの境界部で突然、海底の隆起または沈降が起こると、その部分の海水が持ち上げられたり、引き下げられたりして、その水位の変動によって波がうねり始めて津波が発生するのだ。
津波は太平洋の周囲を取り巻く火山帯、いわゆる環太平洋火山帯の内側で発生することが多く、津波の約80%がこの地域で起こっている。環太平洋火山帯は地殻変動によって火山活動や地震や頻発している地質学的に活発な地域である。
津波は、海中の地すべりや火山噴火によって起こることもある。大昔にはよく巨大な隕石が海に落ちた衝撃によって、津波が発生することもあったようだ。
津波は、最高時速805キロというジェット機並みの驚異的な速さで、陸に向かって押し寄せる。その速さたるや、太平洋を横断するのに1日もかからないほどの速さである。また津波は波長が長いため、その威力をほぼ維持したまま、岸まで到達する。
外洋では津波の高さはわずか30cm程度でしかない。しかし、海岸線に接近し浅瀬に入ると、速度は落ちるものの、威力と高さが増し始める。波の上部は底部よりも速度が速いため、急激に高さを増す。
通常は、最も高い波、いわゆる津波の「山」の前に、低い部分、いわゆる津波の「谷」が先に岸に到達する。「谷」が岸に到達すると、驚異的な吸引力により、港や海岸部の海底が見えるくらいまで、海岸の海水が沖に引いていく。この「引き波」は津波の前兆である。津波の「山」と共に大量の海水が岸に押し寄せてくるのは、この前兆の約5分後である。つまり「引き波」に気付くことができれば、津波の犠牲にならずに済む可能性がある。
津波は連続して発生する波からなる。そのため、後続の波が追い付き重なることによって次第にその威力が増していく。津波の被害にあった人ならば、第1波だけではなく、第2波、第3波と繰り返し襲来してくる津波の恐怖を覚えているはずだ。被害が及ぶ可能性のある場所には、公式な安全宣言が出るまで戻ってはならない。
陸上から確認する限り、それほど大きくなく、驚異的な威力を持つとは思えない津波もあるが、沿岸部に潮が急速に満ちてくるのと同様に警戒を怠ってはならない。
最大の津波対策は早期警報である。早い段階で警報を発令することにより、人々が高所へ避難する時間を確保することができる。現在、26ヵ国が加盟している太平洋津波警報システムがハワイを拠点に運営されている。津波の検知を目的としたこのシステムは、地震観測機器と水位計によって構築されている。また、太平洋沿岸以外の地域を守るために、同様のシステム構築が世界各地で計画されている。











