破壊する力の源
ハリケーンは、最大風速が時速約260キロを上回る強風と、1日あたり9兆リットルを超える量の雨を伴う。ハリケーンは、北インド洋やベンガル湾では「サイクロン」、太平洋の西部では「台風」として知られている。
大西洋のハリケーン・シーズンである8月中旬から10月後半にかけて、平均して毎年5〜6個のハリケーンが発生する。
ハリケーンは、海面温度が26.5度以上と温かい熱帯の海水上で大気の乱れとして発生する。この大気の乱れは暖かい海水からエネルギーを吸収して発達する。その風速が時速61キロに達すると、熱帯低気圧となり、熱帯低気圧の風速が時速63キロに達すると、トロピカル・デプレッションと呼ばれるようになる。そして、風速が時速119キロに達した状態が持続した場合、ハリケーンとなるのだ。ハリケーンの規模は、サファ・シンプソン・ハリケーン・スケールによりカテゴリー1からカテゴリー5までの等級に分類される。
ハリケーンは、圧倒的な規模のエネルギーを発生する巨大な熱機関に例えられる。湿った温かい海水から熱を吸収し、その熱から発生した水蒸気を凝縮して雷雨として放出する。
ハリケーンは低気圧の中心部、つまり「眼」を中心に渦を巻いている。「眼」の大きさは幅32〜48キロにもなるが、この部分は大気が下降するため風雨が弱く穏やかである。しかし、眼を取り巻いている「雲の壁」では暴風雨が激しく吹き荒れている。
ハリケーンはさまざまな方法で、陸地に被害を及ぼす。ハリケーンが陸地に接近すると、高さ6メートル、長さ160キロにもなる破壊的な高潮が発生する。ハリケーンによる死亡者の約90%は高潮の犠牲者である。
ハリケーンの強風は驚くほどのパワーを持ち、竜巻を引き起こすこともある。豪雨によって洪水や地すべりが発生し、海から遠く離れた内陸部にまで被害を拡大させることもある。
ハリケーンから身を守るための最善の方法は、正確な予報に従って、ハリケーンの進路から逃げることに尽きる。アメリカの国立ハリケーンセンターでは、住人に危険が及ぶ可能性のあるハリケーンに対して警戒体制をとるように促し、24時間以内に上陸する恐れのあるハリケーンに対してはハリケーン警報を発令している。















