生命の培養地
熱帯雨林では、ありとあらゆる場所に植物が植生している。そこに生息している植物は、何百万という種の生物の生命を維持する上で欠かせないものだ。しかし、毎年地球上の熱帯雨林の多くの場所で、森林伐採や採掘活動、牧場建設などのために木が切り倒されている。
地球上に現存する熱帯雨林の30%はブラジルに分布している。2000年から2005年の間に、13万平方キロ以上もの熱帯雨林が森林伐採によって消滅してしまった。生物学者は、長期的な影響を懸念している。
その影響の1つが干ばつである。アマゾンをはじめとする一部の熱帯雨林では、1990年代から干ばつが始まった。おそらく森林伐採や地球温暖化が原因であると考えられている。
森林伐採を抑制する取り組みが、おもに「持続可能な森林伐採」を促進する活動を通じて、非常に限られた範囲で進行中だが、今のところ、その効果は微々たるものである。
熱帯雨林は、自らが必要とする水を、自らの力で獲得している、と言っても過言ではない。植物は水分を大気中に放出している。この現象を蒸散と呼ぶ。熱帯地方に生息する1本の樹冠木が1年間に放出する水分量は約760リットルである。この水分のおかげで、熱帯雨林の上空に厚い雲が生成される。そのため、雨が降っていないときでも、熱帯雨林は高温多湿に保たれているのである。
熱帯雨林の植物は密集して生息し、植物を食べる昆虫類による絶え間ない攻撃から身を守っている。植物は、熱帯雨林での生活に適応するために、化学物質を生成している。研究者によれば、この化学物質は薬品として有効であることが判明した。食品や化粧品、薬品に使用可能な植物を探し求めて熱帯雨林を調査する生物資源調査が、過去10年間で、大規模なビジネスに成長した。地元の人々がこのような調査から得る報酬額は、ほぼゼロのときもあれば、後々の利益から分配されることもある。
アメリカの国立がん研究所(NCI)によれば、現在までに抗がん作用があると特定された植物の70%は、熱帯雨林に生息する植物だという。例えば、民間の製薬会社が開発中の新薬、「カラノライドA」は、エイズ治療薬として効力があると考えられているが、NCIによればこの新薬はボルネオで発見された樹木の成分をもとに開発されたという。
ランのように熱帯雨林から採取され、栽培されるようになった木や植物も多い。ブラジル・ナッツはさまざまな場所で生育に失敗した植物だが、唯一生育に成功したのがアマゾンの熱帯雨林の保護地区だった。ランの花粉も媒介するハチがブラジル・ナッツの受粉活動を行い、その種子は森林地帯に生息するアグーチと呼ばれる小型哺乳動物によって運ばれるのである。
















