アースデイには、あなたが自分の健康を心配するように、地球の健康について心配してみよう。私たちの体は住んでいる環境と密接に関係している。私たちの体はきれいな空気や飲料水を必要とするだけでなく、さまざまな方法で生態系に影響を受けていることが、科学者たちの研究によって明らかになった。例えば、野生生物の生息地が破壊されることで、人間が新たな病気に感染する恐れがあるという。
ワイルドライフ・トラストの環境医学コンソーシアムに所属する獣医疫学者、ジョン・エプスタインは「森林伐採、国際的な観光業や貿易業、農業の拡大などによって、野生動物から人間に病気が蔓延する危険性を理解する必要がある」と警告する。例えば、鳥インフルエンザは野鳥から家禽類へと感染し、さらには2006年1月にトルコで発覚したように、人間に感染することもある。
野生動物保護協会の獣医学担当責任者で、2005年の夏にモンゴルで渡り鳥がH5N1型鳥インフルエンザウイルスに感染していることを発見したウイリアム・カレシは、「アジアでは、人間と動物が接触する機会は毎年約10億回にのぼる。人間がSARSや鳥インフルエンザ、ニパウイルスなどの病気に感染する確率がそれだけ高いということだ」と話す。同氏は、エボラウイルスによる病気の発生や生物学的多様性の損失の原因となる、野生動物の食用について大規模な調査も行っている。
私たちは、私たち自身のために、地球に代わって行動を起こし、家庭や職場、学校、リゾート地などで周囲の人たちにも呼びかけを行う必要がある。以下に、空気をはじめとする地球上の資源を守るために私たちが実行すべきことを、生態系別にリストアップしてみよう。
熱帯雨林の保護
最新の衛星写真では、アマゾンの熱帯雨林は皆伐による荒廃だけでなく、必要な樹木だけを伐採する択伐によっても相当な犠牲を強いられていることが分かっている。スタンフォード大学の地質学・環境科学学科に所属するグレゴリー・アズナーによれば、択伐によって、毎年4540万〜7280万トン以上の二酸化炭素(CO2)が大気中に放出されているという。「択伐によって、多大な付随的被害が生じている」とアズナーは話す。例えば、森林伐採用の道路建設による分水界の汚染、野生生物の生息地の分裂などだ。その結果、マラリアを媒介する蚊やライム病を媒介するダニなどの媒介生物に人間が接触する確率が高まる。「清潔な飲料水の損失と森林伐採が病気発生の原因だ」とカレシは説明する。
さらに、森林伐採によって悪天候の被害が拡大することもある。2004年12月に発生した津波では「健康なマングローブの森やサンゴ礁が広がる海岸域では、居住者の生存率が非常に高かった」と、マングローブ活動プロジェクト(MAP)の理事を務めるアルフレド・カルトは明かした。一時期、エビの養殖場開発などが進み、マングローブが伐採されてしまったところも多かったが、マングローブの森が津波の衝撃を和らげたことが判明したため、東南アジアの国々では広範囲でマングローブの移植が進んでいる。
あなたにできる対策
- MAPへの寄付を通じて、マングローブの保護活動を支援する。
- エビを食べるときは、マングローブ林を切り開いて養殖されたエビではなく、天然エビを選ぶ。
- 絶滅の危機に瀕しているブラジリアン・ローズウッドから採取された、ローズウッド(現地語ではパウ・ホーザ)オイルを使用したパーソナルケア製品は購入しない。代わりに、オーガニック・エッセンシャル・オイルを使用した製品を選ぼう。
- 熱帯林の木陰で生態系を守りながら栽培され、労働者にも均等に賃金を支払っていることを保証している「森林管理協議会」認証食品を購入する。
大気中の汚染物質や温室効果ガス
スモッグを多く含んだ空気は肺に害を及ぼすだけでなく、心臓発作や脳卒中、ぜんそくの原因になることもある。アメリカ環境保護庁(EPA)によれば、気温の上昇によって、心臓病患者の負担が増加したり、肺に有害なオゾン濃度が地表レベルで上昇することもあるという。さらに気温が上昇すれば、マラリアのような熱帯病が温暖な地域にも蔓延する危険性が高まる。
あなたにできる対策
- 自家用車から排出されるCO2を相殺するために、カーボンオフセット付きの製品を購入する。
- 出勤や買い物に自転車を利用する。子どもにも自転車通学を勧める。
- 飛行機を利用する代わりに、可能な限り電車を利用する。2003年、アメリカでは飛行機のCO2排出量は2億2910万トンに上った。乗客1人当たりの排出量は約0.4トンだ。どうしても飛行機を利用しなければならない場合は、経由便ではなく直行便を利用しよう。
湿地帯と河川の保護
ルイジアナ州の湿地帯が消失したことで、ニューオーリンズとメキシコ湾の間の防護壁がなくなり、2005年に発生したハリケーン、カトリーナの被害を拡大させた。湿地帯を守ることは野生生物の保護だけでなく、海や水道に達する前に水を濾過し、汚染物質を除去する自然フィルターの保護にもつながる。
汚染物質の影響は顕著に現れている。例えば、メスの特徴を持ったオスのコイが発見されたが、これは下水道に流れ込んだ経口避妊薬が原因とみられている。さらに、「環境健康展望』2006年1月号に発表された研究では、広く使用されている除草剤アトラジンが両生類の生育に悪影響を及ぼすことが明らかになった。
あなたにできる対策
- 湿地帯にゴミを投棄しない。
- 湿地の保全活動を行っている団体に協力して、湿地帯を保護する。
海洋汚染対策と生物保護
土壌に流出した化学薬品や汚水、化学肥料などの汚染物質はやがて海に流れ込む。私たちは汚染された海で海水浴を楽しんだり、汚染された海で捕れたシーフードを食べることで、私たち自身の健康に害をおよぼしている。
国際連合によれば、地球上の低酸素海域146カ所のうち、3分の1がアメリカ沿岸に集中しているという。メキシコ湾には、1カ所1万8000平方キロメートルと広大な低酸素海域が存在する。この低酸素海域には、ミシシッピ川に流出する合成肥料や動物糞便から大量の窒素が流入する。その結果、藻の異常発生による「赤潮」が起こり、その海域でとれた甲殻類を食べて食中毒にかかる人もいる。また、メカジキやビンナガマグロなどの食用魚の体内にも、石炭火力発電所や塩素工場から流れ出した神経毒性の強い水銀が蓄積している。
さらに営利目的の乱獲も問題となっている。現在、1500種を上まわる外来海洋生物が売買され、世界のサンゴ礁の50〜70%が輸出目的で被害を受けているのだ。
あなたにできる対策
- 芝生に肥料を与えすぎない。その代わり、刈り取った芝を芝生の上に残しておこう。
- レンガや砂利を用いて庭や芝生に雨水を導き、遮水面から流出する水の量を減らす。
- 合成窒素肥料を使っていない無農薬食品や綿織物を購入する。
- 分水界の保護に貢献する地元の農家から農産物を購入する。また、地域のコミュニティが支援する農業団体に加入し、農家で栽培された新鮮な農産物を収穫する。
- サンゴを購入しない。
- 安全な漁場で捕れた魚を食べる。
- 廃水を海洋に投棄するクルーズ船には乗らない。
草原の保護と再生
かつてアメリカ全土を覆っていた草原は、開拓や農業、道路建設などによって次第に減少し、まばらになってしまった。NPOのダックス・アンリミテッドで保護活動担当理事を務めるジム・リンゲルマンは「われわれの調査によれば、サウスダコタ州ミズーリ高原では過去2年間で、6万9000ヘクタール以上の原生草原が消失した」と話す。同氏は、農民が草原を開拓して遺伝子組み換え作物の栽培を開始したことに言及し、「草原に除草剤耐性大豆の繁殖が拡大したことが主原因と思われる」と分析する。結果的に、草原による自然の濾過作用がなくなったことで、水道水に混入する化学物質の量が増加し、土壌の浸食に拍車がかかっている。また、鳥獣保護団体のオーデュボンが公表した「2004年鳥類の現状」によれば、1966年以降、草原に生息する鳥類の個体数は70%も減少しているという。
あなたにできる対策
- 遺伝子組み換え大豆を使用した製品を購入せずに、無農薬食品を選ぶ。
砂漠の生態系の保護
天然砂漠は不毛な荒地ではない。というのも、アメリカ南西部に広がる砂漠には、アメリカ国内で見つかる植物種の約10%が植生しているからだ。
あなたにできる対策
- オフロードを走る場合、公式な標識のあるルートを走行する。シエラ・クラブのグランドキャニオン支部で保全支援活動担当理事を務めるサンディ・バールによれば「オフロード車の立入禁止区域への侵入は、崩れやすい砂漠の土壌に悪影響を及ぼしている」と話す。また同氏は「砂漠の水場は、最も運転に適さない場所なので近付かないこと。また、野生動物の生態系を破壊する恐れがあるため、水場の中心部には立ち入らないこと」と警告する。
- 砂漠で採取された考古学遺物、岩や砂、動物、サボテンなどの野生植物などを、砂漠植物園やアメリカの国立公園局教育事業課以外からは購入しない。アメリカ先住民から工芸品や植物の種子、食料品などを購入し、先住民のコミュニティの支援や在来種の保護に貢献しよう。
















