豊かな生態系を形成する乾燥した大地
一見、乾燥した荒地に見える砂漠だが、厳しい生息環境に順応している多数の動植物によって豊かな生態系が形成されている。一部の砂漠には、地球最後の原生的な自然環境が残っている。にもかかわらず、実は世界の人口の6分の1に相当する10億人以上が、砂漠地帯に住んでいるのだ。
砂漠は地球上の陸地の5分の1以上を占め、どの大陸にも存在する。年間降水量が250ミリを下回る地域が砂漠に分類され、より大まかな分類では「乾燥地帯」に属する。乾燥地帯の環境は「水分欠損」と呼ばれ、蒸発によって失われる水分の量が年間の降水量を上回ることが多い。
砂漠の一般的なイメージは「乾燥」と「灼熱」だが、実は気温の低い砂漠も存在する。世界で最も暑い砂漠は北アフリカのサハラ砂漠で、日中の最高温度は50度にまで上昇する。一方で、アジアのゴビ砂漠や南極大陸の砂漠のように、常に低温の砂漠もある。そのほかには山岳地帯の砂漠などがある。砂漠と聞いて多くの人々が思い描く砂丘が連なる砂漠は、全体のわずか10%にすぎない。最も乾燥した砂漠では、濃霧が出るのみで雨は降らず、年間降水量は10ミリにも満たない。
砂漠に生息する動物はその厳しい環境に順応するため、体温を低い状態に保ち、少ない水分で生きる術を身につけている。例えば、ラクダは数日間、食料と水分を補給しなくても生活できる。砂漠に生息する動物の多くは夜行性で、灼熱の太陽が沈んでから起き出して捕食活動を行う。アメリカ南西部に生息するサバクゴファーガメのように、1日の大半を地下にもぐって過ごす動物もいる。砂漠に生息する鳥類の多くは渡り鳥で、食料を求めて空を縦横無尽に飛んでいる。こうした動物たちは砂漠という特別な環境に順応しているため、外来種の侵入や生息環境の変化に対して非常に脆弱である。
砂漠に植生する植物は、何年も続けて水分を補給できないこともある。そのため、一部の植物は根を長く伸ばし、地下深部から水分を採取することで、乾燥気候に順応している。ほかにも、サボテンのように、特別な方法で水を蓄える植物もある。砂漠に植生する植物は数百年と寿命が長いものが多い。
地球上の半乾燥地帯が今、驚くべき速さで砂漠へと変貌している。この「砂漠化」と呼ばれる現象は、干ばつによるものではなく、人間が半乾燥地帯に定住して、農作物を栽培したり、家畜を放牧したことが原因である。家畜の蹄(ひずめ)によって土壌が分解されて、風や水による浸食が加速しているのだ。
また、今後地球温暖化がさらに進めば砂漠の生態環境が変化する恐れがある。気温が上昇すれば、野火の発生率が高くなる。野火により成長が遅い樹木や低木は消滅し、その代わりに成長の早い雑草が植生する。そうなれば、瞬く間に砂漠の景色は一変してしまうだろう。
















