私たちに何ができるだろう?
地球温暖化が人間活動に起因しているということはすでに明らかになっている。いま、問われていることは、地球温暖化を食い止めるために、私たちに何ができるかということだ。経済、社会、政治のすべての観点から、今後の対応策を練らなければならない。
仮に今日、温室効果ガス(GHG)の排出が完全にストップしたとしても、地球の温暖化はすぐには止まらない。しかし、今日から始めたことは、将来的に大きな違いをもたらすはずだ。科学者たちによれば、最終的に地球の気温の上昇幅が1.4℃にとどまるか、もしくは5.6℃にまで増加するかは、私たちの行動しだいだという。
温暖化対策の一般的な数値目標としては、GHG濃度の450ppmから550ppmへの安定化が掲げられている。この濃度は産業革命以前の濃度の約2倍だが、気候変動による最悪の事態が避けられると考えられている限界値である。現在のGHG濃度は約380ppmである。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、100年後にこの数値目標を実現するためには、現在のGHG排出量を50%から80%削減しなければならないという。もう一刻の猶予もないということだ。
数値目標は本当に実現できるのか?
温室効果ガスの排出を削減させるため、すでに多くの人々や政府が動き始めている。もちろん、誰でもその活動に協力することができる。
米国プリンストン大学の研究者であるスティーブン・パカラとロバート・ソコロウは「地球温暖化を安定させるためのくさび」と名付けた対策を2004年に提案した。「くさび」とは、劇的な変化をもたらす1つの新技術に頼るのではなく、今後数十年間で実用化のめどが立つ複数の技術を利用して、GHGの排出を削減するという対策である。パカラとソコロウは、GHG排出削減を達成するための7つのくさびを提案している。その7つをすべて実行すれば、今後50年間は、現在のGHG濃度を維持することができ、最終的には約500ppmに維持することも可能だという。
くさびの種類はさまざまだ。例えば、エネルギー効率の向上と低燃費自動車の開発(消費エネルギーの削減につながる)、風力発電や太陽光発電の普及、再生可能なエネルギー源、バイオ燃料(植物を原料とした燃料)、天然ガス、原子力による水素の生成などが挙げられる。さらに化石燃料から排出される二酸化炭素を捕らえ、地下に貯蔵するという「炭素隔離」と呼ばれるシステムも可能性として考えられている。
人間が大気中に排出するガスを削減する方法だけでなく、大気中から取り除くガスの量を増加させる方法もある。例えば、植物や樹木はCO2を吸収して成長するため、二酸化炭素の「隔離」を自然に実現している。そこで、森林地帯を増やしたり、耕作方法を変えることで、二酸化炭素の貯蔵量の増加につながる。
しかし、こうした技術の中にはまだ解決すべき課題を抱えているものもあり、地域によって発電方法が違うことも足並みをそろえにくい原因である。しかし逆に言えば、さまざまな選択肢があることで、異なる方法で地球温暖化対策に取り組むことができるわけだ。














